僕は騙されたんだ。
これは中学入学して間もない子供と、その父親の会話である。
A=父親 B=息子
A「おい!」
B「ん?なんだよ」
A「お前テスト0点てどういうことだよ。中学入って最初のテストで0点ってふざけてんのか!」
B「いや、違うんだよ。テスト側に0点を取れって言われてるようなもんだったんだよ」
A「は?」
B「問題文に"適当なものを選べ"って書いてあったからいけないんだよ」
A「?」
B「適当なものを選べって書いてあったから、僕は選択肢をテキトーに選んだんだよ。そう書いてあったからね?そしたら0点だった。意味わからん」
A「は?お前だよ意味わかんないのは。適当をテキトーって思うって、そんなやついるか?」
B「でも、それはテスト側もおかしくないか?」
A「なんにもおかしくねぇよ」
B「小学校までは、''正しいものを選べ"だったんだよ。なんで中学に上がると、正しいものを選べじゃなくて、"適当なものを選べ"になるのかが分からない」
A「中学に上がったからだろ」
B「それでおかしいだろって思って先生に猛抗議したら、ん?何言ってんだコイツって目で見られた」
A「当たり前だろ」
B「でも、小学校から中学校に上がった途端に急に難しい言葉に変わるのは意味が分からないよ」
A「成長したってだけの話だろ。別に変なことではないんじゃないのか?ていうか、そもそも適当は難しい言葉じゃねーよ」
B「でも、実際僕は勘違いしたんだよ?僕は騙されたんだ。"正しいものを選べ"だったら、正解を選んでいたよ。0点を取った僕を怒るのはお門違いだ」
A「じゃあ聞くが、お前以外に勘違いしたやつはいるのか?」
B「いたらどうする?」
A「ほとんどの人が間違えてるならお前が正しいってことにしてやろう。おそらく、モンスターペアレントと思われるだろうが、父さんが学校に抗議してやろう。もっとも、なんで抗議してるのかこっちも分からんがね」
B「もし、僕だけだったら?」
A「お前がバカってだけ」
A「で、どうなんだ?」
B「いない」
A「お前がバカなだけじゃないか」
やっぱり息子がバカなだけだった。
そして、息子は"正しいものを選べ"だったら正解を選んでいたと言っていた。では、"適当なものを選べ"はテキトーに選んではいけないと知った息子は、次のテストではしっかり正解を導き出せるのか?
答えは皆さんのご想像通りである。
終