変わらぬ日常
「ヤバい、もうこんな時間」
いつも通り、朝八時過ぎに起きたこの少年。名前は、前田悟高校一年生。
「コラァ、早く起きなさーい!」
「この声は!」
毎日聞いているこの声、そう僕のお母さんだ。
「はよ着替えて朝ごはん食べて学校にいきなさーい。」
「分かったー。」
同じようなやり取りを毎日、この会話が僕の朝の日課だ。この後もわかっている。
「もう八時過ぎかー、今学校の準備をしてもチャイムに間に合わない。今日も休むかー。」
と、言いいつも通りトイレに向かう。トイレに向かう途中僕の体に違和感があった。
「なんか体がだるいな。まあ、気のせいか。」
体に違和感を覚えつつもトイレに向かった。何も変わってないいつもの光景だ。そして、トイレの中に入り、尿を出し終え、自分の部屋を目指し昨日のゲームの続きをする予定だった。
「昨日、倒せなかったボスを倒しに行くぞー。」
十分に気合が入っている。そして、トイレのドアノブに手をかけた。
「レッツゴー!」
すると、自分の家の廊下に出たはずが、そこは、見たこともない村だった。
「は?」
訳がわからない。どういう事だ。何が起きている。ここは何処だ。今僕は何処にいる。徐々に不安な気持ちや焦りを覚えた。
「怖い、怖い、怖い。」
何が何だかわからない。
「お母さん、お父さん、、、。」
震えが止まらない。気づけば涙を流していた。
「誰かぁ、、、誰か助けてくれ!」
と、大声で叫んだ。すると、村の近くの茂みから。たくさんの人らしい影が見えた。その正体は、徐々に色濃く僕の目に映っていく。そして、一人の少女が声を出した。
「勇者様だ、皆んな成功したよ。」
それに続き他の者が声を上げた。
「よっしゃぁぁ、これで地獄から解放されるぞー」
「本当に、本当に来たのじゃな。」
「勇者様、この子を守ってください、お願いします。」
次々に訳のわからない言葉をかけられて、僕は戸惑った。
「どゆこと??」
そして、最初に声をかけた薄紫の長い髪の美少女が、
「何が起きているか混乱されていると思いますが、まずは、一旦あちらでお話があります。」
と、礼儀正しく言ってきた。僕は、言われるがまま彼女達について行き、今僕は、どんな状況にいるのか、ここに至るまでの経緯を話してもらった。
「はー!?」
話を聞いてるとますます言いたいことがわからなかった。彼女らが言うには、この国は、魔王軍たちによって支配されており、ここの住人たちは、その魔王軍から逃げるために、場所を転々としていると話してくれた。その話は分かる、分かるんだが、、、
「何故、僕はここにいるのでしょうか。」
と、何で僕には関係のない事なのにこんな国にいるのか。何で、トイレの扉を開いた直後に、こんな国に移動しているのか。次々に浮かぶ疑問が僕の頭の中をいっぱいにしていた。
すると、薄紫の長い髪の美少女は、こう話してくれた。
「その事なんですけど、単刀直入に言います。」
僕は、その大切な事に一回喉に溜まっていた唾を飲み込んで覚悟を決めた。
「あなたは、、、私達が召喚しました。」
そう僕に言いつけて。