その2
柄じゃなかった。普段ならこんな行動とらないのに、明日休みで変なテンションだったのは認める。
息を切らしながら頭の中で分析して心を落ち着かせた。
女の子「あ、あのー…」
男「あ」
女の子「手…痛いです…」
し しまった。焦っていたこともあって強く手を握ってしまったようだ。
男「すみません。大丈夫?折れてるとかそんなことはないと思うけど」
女の子「少し痛いだけで、折れてはいないです。」
男は混乱していた。会社ではSEでろくに体も鍛えていないのに、女の子の手を折るとかあるわけない
女の子は手をさすりながら公園にあるブランコに座った。
男「あぁー、っと…あれだ!俺は決して怪しい人間じゃないよ!ナンパとかしたことないし」
男「普通の会社員だし、犯罪だって…軽犯罪とかはしてるかもしてないかも?だけど…」
男の混乱はとまらない、いらない情報だけが口から垂れ流されていく、その時
女の子「ふふ、」
女の子が笑った。
男「ぁ!名前!、俺の名前は豊」
女の子「豊…さん…」
まだ警戒はされている、当たり前か…っと女の子が手を挙げて質問したいようだ
女の子「豊さんはどうして私を助けたのですか?」
すごく真っ当な質問だ。答えようにも改めて考えると…なんでだろう、だが自然と口に出した答えが
豊「昔見た漫画にそんなセリフを言ってるのを見たことがあって、言ってみたかっただけ?かな」
女の子は目を丸くしてこっちを見ていた。この人何言ってるんだって顔なのか…呆れたって顔なのか…判断ができない。でも
女の子「うふふ、あはは!…大人の人でも漫画の登場人物が言ってたセリフを、本当に言ってしまう人がいるのですね。」
ん、光の加減か、少し感じが変わったか?女の子の表情が…
女の子「私の名前は結衣です。」
豊「結衣…ちゃん、か、いい名前じゃないか」
結衣「… …どうも、ありがと…ございます」
照れているのか、もみあげの毛を指でくるくるしている。
豊「っとまー流れでお互い自己紹介してしまったが、家どっちだ?もしくは駅までなら送っていくよ」
結衣「家……、うー…ん」
ん?様子がおかしいぞ?
結衣「豊…さん、今晩泊めてくれませんか?」
言葉を理解するのに数秒かかった
豊「…ん、?ちょっとまって?なんでそうなる?」
結衣「お金持ってないの」
豊「いやいや、お金渡すからいきなり泊めてってのは…」
結衣「…えっと…、こ 今夜、友達の部屋に泊めてもらう予定だったんだけど、その友達が彼氏とー…ってね」
豊「ね、じゃないよってか結衣ちゃんってまさか…未成年?」
結衣「違う違う!、二十歳です!」
豊「二十歳って…」
明らかに怪しい、二十歳でお金がない + 友達の家に泊めてもらうとか、スマホは持ってないのか?スマフォ決済とかあるだろ!
なんで泊めてほしいんだ!初対面で名前を知ってから3分も経ってないぞ!ハニートラップか!俺にトラップする理由がないぞ?!
俺は頭をかきむしる、目的がわからない。でも万が一二十歳じゃなかったときの保険がほしい。
豊「保険をかけたい、親に連絡して同意をとってほしい、じゃないと近くの… …」
と説明の途中に結衣はどこかに電話をしていた。
結衣「…うん、私は大丈夫。…うん明日には戻ります必ず。…はい、…」
親に連絡しているのか?
ってスマホ持ってるんかい!
結衣「親のOKでた。」グ
グ!、じゃないよ
豊「いやいや、おかしいだ…」
結衣「豊さんが泊めてくれないとさっきのナンパしてきた人たちにお願いしてきます。」
結衣「私、今日お金もなく帰れないんです。あなたたちの部屋に今晩泊めてくれませんか?」
おいおいそれは卑怯だろ…
深いため息の後、色々と考えたすえ、腹をくくるしかないようだ。ハニートラップでものちに誘拐罪になったとしてもこのまま放置していたら、
本当にさっきの男達に声をかけにいきそうだ。
結衣ちゃんがブランコから立ち上がり、さっきのコンビニへ行こうと歩き出す
マジか…本気なのか…
豊「わかったよ、今晩だけだからな!」
結衣ちゃんがくるっと回った
結衣「大丈夫、罪に問われても、全力で私が豊さんの無実を主張してあげるね」
豊「保護者が通報しないことを祈るよ」