その1
4月2日、今日が誕生日だと気づくのはいつだって自分ではない、
後輩が律儀に誕生日プレゼントをくれるからだ、男なのにご苦労なこった・・・
時刻は20時、仕事が一カ月ぶりに早く終わった。ブラック企業にしては珍しく奇跡的に明日は休みだ。
夢のためにこつこつ進めている野望は一旦おやすみにして、一人誕生日パーティーをしようと思う。
少し多めの料理に、お酒が入っていないシャンパン、準備は万全だ。
職場から歩いて20分のところに自分のテリトリー《部屋》がある心なしか足は軽い。が、乾きものが急に食べたくなったので少し遠いコンビニへルート変更をした。
今思えば、この時コンビニへいかなければ俺の人生は短命だったかもしれない・・・
コンビニに到着した、車が三台ほど止められる駐車場に女の子が一人、
一瞬見ただけで顔も身なりも整っていてかわいいと感じた。
普段なら気にも留めたいのに、少し気になった。コンビニの中に入り目当ての乾きものを買った。
コンビニから出ると女の子が柄の悪い男二人に絡まれていた。
「ナンパか・・・」
ぼそっとつぶやく、女の子は無言のまま眉間にしわを寄せてウザがっている、男はそんなのお構いなしにしゃべり続けている
自分には関係ないと・・・普段なら通りすぎるのに・・・なぜだろう
「妹よ!遅くなったな!目当てのものが見つからなくて時間を食ったぜ!こまったこまった!ハハハ」
せーいっぱいの声を出して女の子に声をかけた。
女の子は目を丸くしてこっちを見ている。男二人も同様だ
「(すべったか・・・)」心の中で反省するも、すかさず女の子の手を取り駅の近くにある明るい公園へ急いだ。
人通りも多く、男達を巻くことができた。