村の伝説
これは文化であって決してヒト食いを進めるものではありません。
十年前、
太平洋に浮かぶ小さな島。ここにはかつてヒト食いの民が住んでいました。
教室の教壇に彼女は立っていた。島の歴史を授業の一環としていた。あくまでもこれは伝説であって事実ではないと付け加えました。
三つの部族があります。彼らは平和に暮らしています。でも、ある日。日照りが続き土地が瘦せてしまい作物が取れない日が続きました。野犬や動物たちがえさを求めて降りてくるようになります。
そこにはウータンという陽気な青年が住んでいました。彼は人の気持ちがわかりません。少しのんきなおバカちゃん。だから、みんなの貯蓄した食料を勝手に食べてしまいます。
降りてきた動物たちに残りを分け与えたりしてしまい村人に反感を買ってしまいました。彼には食事が与えられず衰弱していきます。すると、動物たちがやってきて村人を襲いす。動物を殺して食糧にした村人たち。
それでも、食糧はありませんでした。
その時です。「僕を食べて下さい。」ウータンは言いました。
村人たちは唾をのみ、大きくうなずくとウータンを食べてしまいました。
雷が鳴り、恵みの雨が降って大地を潤していきます。水を飲み村人たちは満たされて祝杯をあげました。
それから、この村の人たちはヒト食い民族になったとさ。
「はいここまで、」
ミーシャは言いました。40代の先生です。彼女はその村で初めて小学校に通った女性。
山奥のその村は今は豚の養殖が盛んな現代農業になっています。
黄色人種と黒人のあいの子が多い村に彼女は白人の血を引いた顔だちをしていました。ちょっと可愛くて愛嬌のある顔ですが、彼女は独身です。若い頃、日本に住んでいました。彼女の生い立ちは本章でお話ししますね。
こんな村が存在しててもおかしくないと思います。