インフルエンサーの渇望
賞賛の嵐が欲しい。
誰もが望む願いなのは間違いない。
しかしながら、ここにそれとは違った小さな願いを持つ者もいた。
一度世に発信すれば、皆からのいいね!が集まる作家のインフルエンサー。
その名も言値 集合
言値は何を言っても喜ばれた。
最終的にはうんこと呟くだけでいいね!が集まる始末だった。
それ故に、本当にいいね!が貰えることがわからなくなった。
ノイローゼになってしまう程に。
誰か教えてくれ…本当に面白いことってなんなんだ?
言値は考えた。
もう一度、ペンネームを隠して本当のいいね!をもらおうと。
言値は知恵や言葉を振り絞った作品を投稿した。
結果は0いいね!。
とてつもなく悔しかった。
これが今の自分の実力なのかと思い知った。
と同時に言値が最初に努力してインフルエンサーになった頃を思い出していた。
ワクワクする。
上等じゃん。
またここから昇り詰めてやるよ。
その頃、評価者としてのインフルエンサーもまた悩んでいた。
氷菓 駿子
彼女が評価する作品はたちまち人気作品に。
彼女もニックネームで評価することで、皆から賞賛を浴びることに慣れてしまっていた。
最終的にはうんこを評価することでいいね!の評価が集まる始末。
そのうち、妥当な人気作品に評価をしてしまうようになってた自分に辟易するようになった。
誰か…本当に評価するってなんなのか教えてよ。
ノイローゼになるほどに悩んだ。
それ故に、彼女もまた自分のニックネームを隠して、評価をするようになった。
誰も見ないような作品にも評価することで、自分だけがその作品と真摯に向き合ってる気がした。
望むなら、評価した作品が人気作品になって、その第一評価者が自分でありたいと思った。
そんな時であった。
氷菓「作者言値集合…?笑ってしまうネーミングセンスね」
氷菓「いいね!も0か…」
そのときは不意に指が動いた。
感想 つまらないやり直し
〜言値サイド〜
言値「ああ〜ん!?つまらないやり直し?誰だ一体?」
言値「氷菓 駿子??ふざけたニックネームだな」
とは言いつつ、顔はニヤけていた。
名を隠して投稿した作品に、初めてもらった評価に喜びを感じていた。
そして気付けば言値はインフルエンサーとして最初の頃に、評価された作品を引っ張り出してた。
言値「このときはこうする…そのときはそうする」ブツブツ
言値「よっしゃ!!今度は絶対いい作品だ!」
渾身の作品を世に送り出した気がした。
いいね!1件。
言値はその1件で満足をしていた。
うんこを呟くだけで何万いいね!をもらうよりか、ずっと価値のあるいいね!だと思った。
氷菓も自分が評価をしたことで、言値の作品が洗練された気がして嬉しかった。
うんこを評価して評価が集まるよりかは、ずっと価値のあるいいね!だと思った。
そんなこんなを続けて1か月。
言値「うんこ」いいね!20万
氷菓「ふふふ…うんこ」評価ポチッ→評価1万件
氷菓 言値「「やっぱりこうなっちゃうんだなぁ」」
結局は名前を隠しても現状に戻った2人なのであった。
おしまい。
という夢を見て、贅沢な夢だなぁとしみじみ思いました