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第9話 称号士とキール協会長の模擬戦


「おい、誰か手合いでもやるみたいだぞ」

「へえ、どれどれ。……って、あれはキール協会長じゃないか!?」


「アリウス様ぁー、頑張ってくださーい!」


 結果、俺は王都でも五指に入る実力を持つというキール協会長と模擬戦を行うことになった。


 ギルド協会の中庭にやって来て、俺はキール協会長と向かい合う。

 リアが離れたところから見守り、更にその外には人だかりができていた。


 大方、キール協会長が戦うと知って集まってきたのだろう。


「誰が相手するのかと思えば、外れジョブを授かった落ちこぼれって噂のアリウス・アルレインじゃねえか」

「馬鹿、お前さっきの見てなかったのか? あのB級ギルドのオデル三兄弟を一蹴してたんだぞ。たぶん元いたところのギルドに見る目がなかったんだよ」


 集まった人たちから様々な声が聞こえてきて、俺はキール協会長と顔を見合わせて苦笑する。


「どうやら注目を集めているみたいですね、アリウスさん」

「はは、そうですね」


 元いたギルドでも部下の前で模擬戦を行うことはあったが、今回は相手が相手なだけに外野を気にしている余裕は無い。

 俺はショートソードを構え、キール協会長も白銀の剣を抜く。


「女神エクーリアよ、我らの戦いを照覧あれ」

「はーい」

「え?」


 キール協会長が決闘の際に使われる前口上を述べていたところ、リアが馬鹿正直に応えていた。

 女神様、頼むから普通に見ててくれ。


 リアが「いやぁ、うっかりうっかり」という様子で舌を出していた。

 俺はキール協会長の気をこちらへ向けるために、あえて大声で叫ぶ。


「いきますよ! キールさん!」

「わ、分かりました。では改めて――」


「「勝負……!」」


 俺は開始の合図と同時に地面を蹴り、キール協会長との距離を詰める。


 ――先手必勝っ……!


 勢いそのまま、待ち構えるキール協会長に横払いの剣撃を繰り出す。

 が……、


 ――ギィンッ!


 キール協会長は俺の剣をいなした後、フワリと後ろに飛び退く。


「良い太刀筋です。やはり相当な実戦経験を積んできたようですね、アリウスさんは」

「それは、どうもっ……!」


 その実戦経験がギルドでの過剰労働によるものというのは少し悲しいが、そこは置いておく。


 俺は再度、協会長との間合いを詰めようと疾駆する。

 が、協会長はそれを見越したかのようにバックステップで距離を取り、構えた剣を下段から上段にすくい上げた。


「ハァアッ、風神剣――!」

「くっ」


 瞬間、離れたところにいる協会長からカマイタチのような衝撃波が飛んできた。

 間一髪の所で回避し、衝撃波は俺の横をすり抜けていく。


 ――まともに当たったらヤバいな。


 衝撃波の軌跡を示すように、地面は広範囲に渡り削られていた。


「まだまだ、いきますよ!」


 キール協会長はまたも剣を振るい、衝撃波を繰り出してくる。

 俺は立て続けに迫る衝撃波をさばくのに精一杯で攻勢に回ることができない。

 さすがに王都随一と言われる強さだ。


「むー、協会長さんズルいです。アリウス様と離れて戦ってばかり」

「先の戦いを拝見したところ、アリウスさんと至近距離で戦うのは得策じゃなさそうでしたからね」


 確かに、このままではジリ貧で体力だけ削られていきそうだ。


 ――それなら……。


 俺は称号士のジョブ能力の使用を念じ、青白い文字が目の前に表示させる。


=====================================

【選択可能な称号付与一覧】


●豪傑

・筋力のステータスがアップします。


●紅蓮

・初級火属性魔法の使用が可能になります。

・中級火属性魔法の使用が可能になります。

・上級火属性魔法の使用が可能になります。

=====================================


 ――剣が届かないなら、こいつだ。


「称号付与……! 《紅蓮》!」


 俺は唱え終わった後、剣を握る手とは反対の手をキール協会長に向ける。


「中級火属性魔法、フレイムスピア――!」

「……なっ!」


 キール協会長に向けた手から炎の矢を連射。

 高速の赤い矢が真っ直ぐにキール協会長へと向かっていく。


 まさか魔法を使用されると思ってなかったのか、キール協会長は一瞬驚いた顔をして、咄嗟に横へと体を投げ出した。


「今だっ……!」


 体勢が崩れたところを見逃さず、俺は瞬時にキール協会長の至近距離まで迫る。

 そして――、


「……」

「……お見事。私の負けです、アリウスさん」


 眼前に剣を突きつけると、キール協会長は降参の意を示して両手を上に上げた。


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