表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/79

第75話 称号士と黒き竜


「どうした? 動かなくて良いのか?」


 余裕の笑みを浮かべていたガルゴの声がかかる。


 俺はその声を跳ね除けるようにして、リアへと称号付与を試みた。


「称号付与! 《水月鏡花》――!」

「何……!?」


 俺が称号を付与すると、リアは神々しいまでの光に包まれる。

 そしてリアは背中から翼を広げ、アリーナの上空へと飛翔。

 リアが両手を胸の前で合わせると、周りを包む光は一層強く輝き出す。


 観客たちの目もリアへと向いていた。


「あれは……、女神様?」


 誰かがポツリと呟く。

 光を纏ったリアが祈りを捧げる様は惹きつけられるほどに神秘的で、まさに女神の姿そのものだった。


 女神の伝承が付け足されるとしたら、その光景は間違いなく書物に載せられるだろうと、そんなことを考える。


 そして――、


「《女神の祝福(セレスティアル)》――」


 リアがその言葉を放つと、辺り一面に光が降り注ぐ。

 それはまさしく「女神の祝福」だった。


「こ、これは……」


 ガルゴですらもその状況には感嘆の声を漏らしていた。


「お、おお……」

「体から痛みが引いていく!」

「ああ、女神様……!」


 痛みに苛まれていた観客たちが立ち上がりリアを見上げていた。


 そしてリアの放った祝福は、惨状を招いた張本人にも効果が及ぶ。


「ぼ、ボクは何をしていたんだ……?」


 レブラの変異は元に戻り、正気に返った様子が見て取れた。


 その場にいた全員の状態を元に戻したリアは、くるりと旋回してから地面に降り立つ。


「は、はは。何だかリアの女神らしいところ、初めて見ました」

「ふっ。本当にな」

「もう、お二人とも!」


 ルルカとクリス副長がそういう感想を漏らすくらいに、先程の光景は普段の印象とかけ離れていた。


「どうです、私とアリウス様の愛の力は! 観念しましたか!」


 リアがガルゴに向けて言葉を発するが、こちらに向き直ったガルゴの赤い瞳からはまだ戦意が失われていない。


「悪いがまだフィナーレには早いな、女神よ」

「往生際が悪いですね。まだ何かするつもりですか?」

「ああ。だが、これで最後だ」

「何を……」


 ガルゴの異様な雰囲気に言葉が詰まった。


 頼みの綱だったはずのレブラの支配もリアに解除され、先の戦闘で負ったダメージもある。


 だというのにガルゴは笑みを浮かべている。

 全ては自分の思い通りに進んだ。

 そう告げるかのような笑みを。


「私が各地で研究を続けてきたのは全てこの瞬間のため。そして、レブラに助力してきたのもな」

「ガ、ガルゴ君?」

「感謝するぞレブラ。貴様の先程の行動でこの世界に積もる百年の怨嗟は閾値を超えた。《漆黒の竜》を()べるだけのな」

「な、何だと……?」


 ガルゴから発せられた言葉に全員が反応した。


 大災厄の魔物、漆黒の竜の名前が何故ここで出てくる?

 まさか……。


「ククク。気付いたようだな、アリウス・アルレイン。……この時をどれだけ待ちわびたことか」


 嫌な汗が俺の背中を伝う。


 そしてガルゴは両手を広げ、叫んだ。


「時は来たれり! 今こそ、異界より降臨しろ。大災厄の魔物、邪竜《ヴリトラ》よ!!」


 ――ガルグァアアアアアアアアア!!!


 響き渡ったのは、体を芯から揺らされるかのような咆哮。


 そして――、


「こ、これが……」


 空を覆い尽くすほどに巨大な黒い竜が、そこにいた――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して評価していただけると作者への応援になります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼▼▼ランキング2位に掲載された長編ハイファンタジーです!面白いのでぜひどうぞ(^^)▼▼▼

【俺だけ使えるスキル奪い放題】王家追放されましたが、世界唯一の《スキル刈り取り》スキルに覚醒しました。無限にスキル収集し無双する~【剣聖】も【勇者】も【聖者】も、弱者を虐げるなら全てを刈り取ります。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ