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第7話 新たな称号付与


「さぁてお前ら、痛めつけてやろうぜ!」

「「合点だ、アニキ!」」


 ――おいおい、こいつらいきなり刃物を抜きやがったよ。


 リアに絡んだ大男の後ろには小柄な男と太った男が控えていて、それぞれの手に短剣やらバトルアクスやらが握られている。

 どうやら容赦する気は無いらしい。


「アリウス様ぁ! そんなデブ男ギッタンバッタンにしちゃってくださーい!」

「……」


 リアが遅れてギルド協会を出てきて、こちらにキラキラした目を向けている。


 やっぱり緊張感が無いなこの女神。

 俺が勝つと疑っていない目を向けてくるリアを横目に、俺は男たちに向き直る。


 さて、どうしたものか。

 武器を持った三人相手だ。

 相手もそれなりの手練のようだし、称号士の能力で何とかできないだろうか?


 そう思って、俺は称号士のジョブ能力の使用を念じる。


=====================================

【対象オデル三兄弟、選択可能な称号付与一覧】


脆弱(ぜいじゃく)

・筋力のステータスがダウンします。

=====================================


「筋力のステータスダウンか……」


 対象の能力をダウンさせるデバフ系の称号。

 さすがにこれだけで決め手にはならないが、何もしないよりはマシだろう。


 そう思って、俺は男たちに手を向け唱える。


「称号付与っ! 《脆弱(ぜいじゃく)》……!」


 唱え終わり、俺は男たちを見据えた。


 多少は効いてくれていると助かる。

 そんなことを思っていたのだが……。


「「「な、なんじゃあこりゃあ……!?」」」

「へ……?」


 握っていた武器を落とし、男たちは三人揃って地面に這いつくばっていた。


「ぐ、ぬぬぬぬ……」

「え、えっと?」


 男たちは立ち上がろうとしているが、それすらも叶わずに地面からわずかに顔を上げるばかりだ。

 どうやらほとんどの力が抜けているらしい。


 これが脆弱(ぜいじゃく)の称号付与した効果なのか。


「お前……、何しやがった……!?」


 脆弱(ぜいじゃく)の称号付与は筋力をダウンさせるデバフ効果のはずだが、ここまで効き目があるとは……。


「く、そぉおおお! それで勝ったと思うなよ!」

「む……」

「俺が授かった【重戦士】の能力ならこれしき……!」


 始めに絡んできた大男がジョブ能力を使用したのか、立ち上がってきた。


 重戦士はパワーに特化したジョブだ。

 その力で身体能力をパワーアップさせているのだろう。

 一度は落としたバトルアクスを手にし、俺に向けて駆け出してきた。


 スピードこそ落ちているものの、一度地面を舐めさせられた屈辱からか鬼のような気迫で向かってくる。

 さすがは上級ギルドに所属する手練だ。


 何か対抗手段をと考え、今度は自身への称号付与を試みる。


=====================================

【選択可能な称号付与一覧】


●豪傑【※新規】

・筋力のステータスがアップします。


●紅蓮

・初級火属性魔法の使用が可能になります。

・中級火属性魔法の使用が可能になります。

・上級火属性魔法の使用が可能になります。

=====================================


 ――豪傑、か。

 大型のブラッドウルフを撃破した時に獲得していた称号だ。


 街の中心地で火属性魔法を放つのも危険だし、ここは《豪傑》の称号付与を試してみよう。


「称号付与! 《豪傑》……!」


 唱え、体中に力がみなぎってくるのを感じる。


 ――これなら……!


「ハァッ!」


 俺は手にしたショートソードを力のままに振るった。

 剣は向かってくる大男が構えていたバトルアクスに直撃し粉砕。……してもなお止まらず、そのまま剣の腹が大男の体にめり込む。


「ぐ、ぼぉえええええええ……!」


 俺よりも遥かに大きい体格の男が綺麗な放物線を描き飛んでいく。

 そしてそのまま、かなり離れた道脇のゴミ山へと突っ込んだ。


「「あ、アニキーっ!」」


「……」


 念の為みね打ちにしておいて良かった……。

 男たちに使用した称号も効き目が凄まじかったからもしやと思ったが、この《豪傑》の効果も規格外だった。


「ふっふん、さっすがアリウス様。カッコ良いところ、いただきました!」


 リアが興奮した声を上げて駆け寄ってきた。

 大男はといえば、ゴミに囲まれながら白目を向いている。


「あらあら、随分とゴミがお似合いですねぇ。ぷぷぷっ」


「て、てめえ。よくもアニキを!」

「この野郎! 許さねぇぞ!」


 そういえば他に二人いたんだった。

 大男を吹き飛ばした俺に敵意むき出しなのだが、始めにかけた称号付与が効いているのか、地面の上でジタバタするばかりで様になっていない。


 大人しくしてくれるんであれば解除してやりたいところだがどうしたものか。

 悩んでいると、ギルド協会の中から出てくる人物がいた。


「そこまででいいでしょう」

「あ、あなたは……」


 整った身なりをした長身の男性がこちらへとやって来る。

 青い長髪を後ろで束ね、柔和な笑みを浮かべているのが印象的だった。


「そこの二人。ギルド《飽食の翼竜》のメンバーですね」

「「は、はひっ……!」」

「事情は見ていた者たちから聞きました。この件はあなたたちのギルド長にも報告させていただきます。今日は後ろにいる男を連れて帰りなさい」

「「か、かしこまりましたぁ……!」」


 青髪の男性の目が細くなり、二人の男は顔を青くさせている。

 有無を言わせない静かな迫力があった。


 ……もう大丈夫だろう。

 俺が称号付与を解くと、二人はゴミ山で気絶していた大男を抱え上げ、そそくさと去っていった。


「災難でしたね。もうこれで大丈夫でしょう」


 俺たちの方に向き直った青髪の男性が軽く会釈する。


「あの、アリウス様。こちらのお方はどちら様です?」

「この人はギルド協会のリーダーを務める人だ。俺も話したことは無いけど……」

「ほうほう、それはそれは」


 ヒソヒソと耳打ちしてくるリアに対して俺も小声で返す。


「お初にお目にかかります。私、王都のギルド協会長を務めます、キールと申します」

「……初めまして。アリウス・アルレインです」

「リアでっす!」

「アリウスさんにリアさんですね。よろしく」


 挨拶を交わしキール協会長はうんうんと頷いている。

 そうして、ギルド協会の方に向かうよう俺たちに促してきた。


「このような所で立ち話もなんですから、私の執務室にご案内しますよ」


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