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第68話 アリウスとレブラ


「おや、ルルカじゃありませんか」

「あ、マリベルお姉様」


 控室に向かうとそこにはルルカの姉、マリベルがいた。


「ああ、誰かと思えば。いつぞやルルカさんと戦ってこてんぱんにやられたオバサンじゃないですか」

「……青髪のチビっ子もお久しぶりですわね。相変わらず減らない口ですわ。決勝で当たったら見てらっしゃい」


 マリベルのギルドも順当に勝ち上がってきているようだ。


 女性であるマリベルのこと、優勝者の権利である王女との婚約が目的では当然無いだろうが、上級ギルドとしての威光を示すために参加しているのかもしれない。


 同じ側の控室にいるということは、俺たちがレブラと戦った後の第二試合で別チームとの対戦になるということだ。


「随分早いんですね、マリベルさん。まだ次の試合までは時間があるのに」

「アリウス様、きっとこのオバサンはルルカさんに一声かけたくて待ってたんですよ」

「そ、そんなことなくってよ!」


 マリベルは慌てて否定しているが、実際はリアの言う通りだろう。

 上級クエストをめぐる決闘があった後、姉妹のわだかまりは解けたようで、ルルカは時々マリベルと会っているようだった。

 以前とは変わって姉と楽しげに談笑しているルルカを見ていると感慨深いものがある。


「アリウスさん。これまでの戦い、見ていました。妹を強くして下さってありがとうございます」

「いえ。俺こそルルカには助けられていますから」

「ふふ。謙虚なことですわね。ですが、負けたら承知しませんわよ。私たちも当然勝ちますから、ぜひ決勝でお会いしましょう」


 マリベルと言葉を交わし終えると、ちょうど俺たちのギルドの名前が呼ばれる。


「それではこれより準決勝の第一試合を始める! ギルド《白翼の女神》と《黒影の賢狼》の代表者は前へ!」


「よし、行こう!」


 俺はリアとルルカ、クリス副長に声をかけ、控室を出る。

 俺たちがアリーナに姿を表すと観客たちからは大きな声援が飛んできた。


 最前列にはルコットたちギルドメンバーの姿も見える。そして奥にはサーシャ王女も。


 若干緊張気味な表情を浮かべ胸の前で両手を合わせながらも、まっすぐと俺たちを見つめていた。


 そうして俺たちは、中央で腕組みをしながら待っているレブラと相対する。

 レブラの横には黒装束に身を包んだ男が三人並んでいた。


 これが、昨日レブラの話していた新しいギルドメンバーだろうか。

 レブラは無愛想な奴らだと言っていたが、無愛想というより何の感情もこもっていないような……。


「フフフ。野次馬たちの注目を集めているからっていい気にならないでくれよ、アリウス君。ここに集まった連中は新生《黒影の賢狼》が勝利する様の見届人に過ぎないんだからねぇ」

「……」


 レブラは昨日に続いてやはり自信満々のようだ。


 呪術士ガルゴから授かった新しい力とやらの影響だと思われるが、それでも何故ここまで偉そうに振る舞えるのか疑問である。


 ――まあ、レブラはいつもこんな感じだったか。


 思えばあの日、レブラから解雇通知書を受け取ったことが始まりだった。

 解雇通知書を受け取った後ジョブ能力を使用し、レブラに付与可能な称号一覧を見せたところ激怒され、結局その能力を理解されることはなく……。


 因縁――、というのは俺の感情を表すのにふさわしくないかもしれないが、それでも俺はどこか場違いな懐かしさを感じながら剣を抜く。


 そしてリアとルルカ、クリス副長も俺に続いて構えを取った。


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― 新着の感想 ―
[一言] 与えられた力はすぐに錆びつく、与えられて鍛えた力は、決してサビつかない。 レブラ達は、与えられた力だけに頼っている、アリウス達は、与えられても努力をし、きちんと育て上げてきた。 その両者…
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