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第6話 称号士は絡まれる


「ふえー、ここは一段と賑わってますねぇ」


 ギルド協会に着くなり、リアが感嘆する。

 依頼を受けて出発する者、何か良いクエストは無いかと掲示板を物色する者、ロビーで仲間たちと打ち合わせをする者など様々な人間がいる。


「ギルド協会は各ギルドの元締めみたいなものだからな。中小のギルドメンバーなんかは直接ギルド協会に依頼を探しに来たりすることも多いんだよ」

「ほうほう」


 ギルドはこの王都だけでなく、世界各国に根付く文化だ。

 薬草採取から人探し、モンスター討伐や商取引に関わることまで、様々な依頼は一度この《ギルド協会》を経由する。

 そのため協会は依頼者と各ギルドの橋渡し的な存在であると共に、依頼料金の吊り上げなどの不正が起こらないよう監督する機関でもあるのだ。


「さて、それじゃ早速ギルド設立の手続きを――」

「おいお前、アリウス・アルレインだな」


 唐突に背後から声がかかり振り返る。

 見ると、そこには髭面の大男(というか実にふくよかな男)が立っていた。


「俺はアリウスですが、何か用ですか?」

「いやぁ、お前のことが噂になってるからよぉ。みっともなくあちこちのギルドを回ってるそうじゃねえか」


 男はヘラヘラした笑いを浮かべながら俺のことを見下ろしている。

 手には酒瓶を握っていた。


 なるほど、なんとも分かりやすい。

 エリートギルドにいた奴が外れのジョブを引いて落ちこぼれたというのは、日々の鬱憤晴らしに絡むには恰好の的なんだろう。

 男の仲間だろう連中がテーブルに座っていて、同じくニヤニヤと笑いながらこちらを見ている。


 俺は無視してギルド設立の受付に向かおうとするが、男が今度はリアに絡んできた。


「お? こっちの嬢ちゃん、めちゃくちゃ上玉じゃねえか。俺たちと遊ばねえか? クヘヘヘヘ」

「おあいにくですが、私はアリウス様のものなのでー」


 どさくさに紛れて何てこと言うんだこの女神は。

 言われた男は一瞬きょとんとした後、俺を睨んできた。

 いや、俺を睨まれても困るんだが……。


「こんな落ち目の奴のどこが良いってんだよ。ほらほら、こっち来て一緒に飲もうぜぇ」

「あ、ちょっ……!」


 男がリアの服の袖を乱暴に掴み、引き寄せようとする。

 俺がさっき買ってやったばかりの、リアが大切にすると喜んでくれていた服だ。


 気付けば俺は男の腕を掴んでいた。


「その手を離せ」

「あぁん!? この外れジョブ野郎が、やろうってのか?」


 男が叫び、ギルド協会のロビーにいた連中も何事かとこちらに注目する。

 目立ちたくはないが仕方ない。


「おいあれ、B級ギルド《飽食の翼竜》のオデル三兄弟じゃないか?」

「誰か助けてやったらどうだ?」

「やなこった。絡まれた奴は可哀想だが、あいつらの実力は確かだからな」


 外野からはヒソヒソと話す声が聞こえてくるが、関わる気は無いらしい。


「あ、アリウス様……」

「俺が何とかする。ヴェールをしっかり被って、正体がバレないようにしていろよ。もちろん女神の力を使うのも禁止だ」

「……はい!」


「表に出ろや。サンドバックにしてやる」


 男が手を振ると、後ろのテーブルに腰掛けていた二人の男が立ち上がる。


 そうして、俺は男たちと一緒にギルド協会から出ていった。


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