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第50話 称号士と来訪者


「それじゃあギルドの昇級を祝して、カンパーイ!」


 タタラナ温泉郷から自分たちのギルドに戻ってきて数日経った夜――。


 リアが元気良く宣言し、俺はギルドメンバーのみんなとグラスを合わせた。


 フロストドラゴンや呪術士ガルゴと戦った上級クエストの結果についてギルド協会のキールさんに報告したところ、ギルドランクがC級からB級に昇級し、リアがお祝いのパーティーをしようと提案した結果このようになっている。


「こらリア。お酒を注ごうとしないで下さい。まったく、油断ならないんですから」

「えー? いいじゃないですかぁ。あの温泉でのルルカさん、かわいかったですよぉ?」

「ぐ……。もう思い出させないで下さい……」

「そ、そうだよリアさん……。確かにお兄ちゃんと一緒にお風呂は入れたのは久々で楽しかったけど……」

「おやぁ? ルコットさんは満更でもないみたいですねぇ。今度またみんなで一緒にお風呂入ります?」


 まったくあの女神様は相変わらずだな。

 あながち冗談とも取れないので後で釘を刺しておこう。


「いやぁ、本当にめでたいですなぁアリウスさん」

「パーズさんも今回の件、ありがとうございました」

「いえいえ。元はと言えばウチの不始末のせいですから」


 グロアーナ通信の記者パーズは手を振って決まり悪そうにしていた。

 そこへリアが膨れ面になりながらやって来る。


「ちょっと待って下さい。何で記者のオジサンが普通にいるんですか?」

「まあリア、そう言うな。パーズさんが今回の件を記事にしてくれたおかげで俺たちのギルドに対する風評も収まってるみたいだし」

「そうですな。自分で言うのもなんですが、やっぱりギルドの活躍を取り上げるのと一緒に訂正記事を出したのが良かったみたいです」


 パーズはそう言って酒が入っていたグラスを勢い良く(あお)る。


「何ですぐに訂正記事出さないかと思ったらそういうことだったんですね」

「ええ。ああいうのは単に訂正記事を入れるだけじゃ効果は薄いんですわ。クレームがあったから訂正した、と思われる可能性もありますから。元々の悪い評価を覆すには善行を取り上げるってのが一番というわけです。ま、これはブンヤのテクニックの一つですな」


 パーズとしては自身の会社の記事が元で風評被害が発生している件について、どうにかしようと色々考えてくれていたらしい。

 今回ガルゴの居場所を突き止めてくれたのもあるし、今後も情報提供もしてくれると申し出てくれていた。

 ギルド活動をしていく上でも頼もしい存在だ。


「でもそれ、結局アリウス様が活躍したから丸く収まっただけじゃないですか。しかもグロアーナ通信がバカ売れして通信社の方は随分と儲かってるみたいですし? まだそちらの借りは返せてませんからね」

「ぐっ、痛いところを……」


 俺はそんなリアとパーズのやり取りを苦笑しながら見ていた、その時だった。


 ――バンッ!


 ギルドの扉が勢い良く開き、黒髪の少年が駆け込んでくる。


 それは俺が《黒影の賢狼》で部隊リーダーを務めていた時の部下、ポールだった。


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