第20話 決戦、巨大蛇ウロボロス
「リアは負傷した自警団のみんなを頼む!」
「わっかりました!」
先に戦闘していた自警団の人たちはリアに任せ、俺は村を襲ったウロボロスと対峙する。
――フシュルルルルル!
眼前の巨大蛇、ウロボロスは独特な唸り声を上げながらこちらを睨みつけていた。
「改めて見るとやっぱりデカいな……」
「アリウス様ならへっちゃらですよ! ゴーゴー!」
自警団の面々を治療しているリアから激励の言葉が飛んでくる。
そろそろ緊張感が無いリアにも慣れてきた。
それよりも、このモンスターを倒せば妹ルコットを長年苦しめていた呪いから解放してやれるかもしれないのだ。
負けるわけにはいかない。
俺は称号士の能力の使用を念じ、
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【選択可能な称号付与一覧】
●豪傑
・筋力のステータスがアップします。
●紅蓮
・初級火属性魔法の使用が可能になります。
・中級火属性魔法の使用が可能になります。
・上級火属性魔法の使用が可能になります。
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「称号付与! 《紅蓮》っ!」
自身に称号付与を試みた。
そして体中に熱い力があふれるのを確認し、ウロボロスに向けて上級魔法を放つ。
「メテオボルケーノ――!!」
俺が魔法を唱えると、ウロボロスのいた地面から火柱が巻き上がった。
――グギャァアアアアアア!!
ウロボロスはその長い体を巻きつけるようにしてのたうち回り、炎の渦に飲まれていく。
このまま丸焼きになってくれると助かる。
そんな考えが巡るが期待通りにはいかないようだ。
ウロボロスは炎から逃れようとしたのか、地面に頭を突っ込み地中へと潜ってしまう。
地面がガタガタと波打ったかと思うと、俺の立っているところめがけてウロボロスが突き上げてきた。
「うおっ!」
俺は地中からの突進攻撃を間一髪で回避する。
上級火属性魔法を喰らわせたおかげで動きが若干鈍っていたものの、地中で鎮火したことで決定打には至らなかったらしい。
俺は姿を現した敵に向けて追撃を放とうとするが、またもウロボロスは土の中に潜ってしまう。
「くそ、やりにくいな」
距離を取って戦えばウロボロスの出現に合わせて攻撃できるだろうが、標的の俺が離れれば今度は疲弊している自警団の人たちに襲いかかりかねない。
リアが守ってくれているとはいっても、そんなことになれば全員を無事に、というのは難しいだろう。
ならばと、今度はウロボロスを対象に取って称号付与を試みる。
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【対象ウロボロス、選択可能な称号付与一覧】
●破面
・防御力のステータスがダウンします。
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「防御力のデバフ効果か……」
――よし、それなら。
俺はわずかな逡巡の後、次の手段を決める。
俺は地面を歪めながら接近してくる相手に向けて称号を付与してやった。
「称号付与、《破面》……!」
――フシュルッ!?
変化を察したのか、地中のウロボロスの動きが一瞬止まるのを感じた。
俺は瞬時に自分へと向けて筋力上昇効果を持つ《豪傑》の称号を付与。
そして、ウロボロスがいるであろう場所に向け、全力の剣撃を打ち付ける。
「地面まるごとブッ叩いてやる――!!」
凄まじい音とともに俺のショートソードが地面を穿つ。
そしてその攻撃は、大量の土砂で囲まれたウロボロスにやすやすと届いた。
――グギャアアアアアアッ!!
防御力をダウンさせた上で《豪傑》により強化した一撃を喰らわせたのだ。
あの巨体とはいえ、ひとたまりもないだろう。
俺は確かな手応えを感じ、振るった剣を鞘に収めた。
――おぉおおお! アリウスがやってくれたぞ!!
自警団の面々から歓声が上がる。
振り返ると、俺に向けて親指を突き上げているリアが目に入った。
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