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第18話 称号士と悲鳴


「俺の【称号士】なら妹を……、ルコットを助けられる……?」


 リアは頷く。


「はい。ただ、必要なことがあります」

「教えてくれ……!」


 妹の病気を治療するために前のギルドで活動してきたといっても過言ではないのだ。

 逸る気持ちを抑え、俺はリアに問いかける。


「具体的にどうすれば?」

「必要なことは二つ。といっても一つはすっごく簡単です。アリウス様が私に称号を付与してくだされば良いんです」

「俺が、リアに?」


 そうか……。


 称号士の能力は他人に力を分け与えることもできると、出会った時にリアは言っていた。

 そして、リアは色んな女神の力を使うことができるとも言っていたはずだ。

 称号士の力を使いリアの女神の力を増幅させることで、あの刻印を打ち消すことができるということなのだろう。


 リアが俺の考えを見透かしたように口角を上げる。


「ただ、アリウス様の力を借りたとしても、私はまだ完全に魔力が回復しているわけではありません」

「それでもう一つ必要なことがあるってわけか」


 俺の言葉に、リアは再度頷く。


「一体何をすれば……?」

「ルコットさんに呪いを植え付けたモンスターを倒せばいいんです」

「モンスターを? でも、呪いってのは呪術士が扱うものなんだろ?」

「仰る通り。ただ、あの黒蛇の呪いは直接付与されたものではありません。呪術士が操っているモンスターを媒介として付けられたものです」


 なるほど……。

 ということは、そのモンスターを見つけ出して倒せば呪いの力を弱められるということか。


「でも、ルコットにあの刻印が発現したのは数年前だぞ? そんな頃にいたモンスターをどうやって探せば……」

「ふふーん。それについては良いお知らせがありますよ、アリウス様」

「……?」

「実はですね、エルモ村に近づいた辺りからずっと集中して気配を探っていたんです」

「何の?」

「モンスターのです」


 リアは胸を張って言った。


「何だか、妙な気配を感じたんですよね。普通じゃない感じのモンスターっていうか、誰かに操られてるっていうか。いやー、探っておいて良かったです」

「誰かに操られてるモンスター? まさか……」

「そう、その通りです。気配からして十中八九、呪術士が操っているモンスターだと思います。それで、どうもそのモンスターがこの村の近くにいるようなのです。といっても、今は少し離れた森の中にいるみたいですが」


 リアの言葉に俺は歓喜した。

 それなら、リアが感知したモンスターを倒せば妹を、ルコットを助けられるということになる。

 場所はリアが把握しているとのことなので、こちらから攻め入ることも可能だ。


「凄いなリア! そんなモンスターを見つけるなんて」

「ふっふっふ。女神の力、パート3です。でも、そのモンスターを見つけられたのも、エルモ村に着くまで集中できたからなんです。だから、アリウス様のおかげですよ」

「……リア、まさかそのためにおんぶしてくれとか言ってたのか?」

「ふふーん。その通りです!」


 それならそうと言ってくれれば良かったのに。

 ワガママで言っているとか、村に着いた時の反応を楽しもうとしてたとかじゃないかと疑ってしまっていた。


「ああ、でも欲を言うと、もっとアリウス様の背中の感触をもっと味わっておきたかったです。……いや、またおんぶしてもらえばいいだけの話ですね。くふふふふ」

「……」


 まあ、とりあえずやることはハッキリとした。

 リアの感知したモンスターというのが今回の討伐対象の可能性も高い。

 であれば分かりやすい。

 そのモンスターを討伐するという本来の目的を追えば良いわけだ。


「しかし、呪術士か……。気になるな」


 俺はふと、エルモ村に着く前に出くわした黒いローブの男のことを思い起こす。


「リア。もしかしてあの男……」

「可能性は、あるでしょうね」


 リアも同じことを考えていたようだ。


 あの不気味な雰囲気を纏っていた男。

 あれが例の呪術士ということも考えられた。

 今すぐに調べることは難しいが、気に留めておく必要はあるだろう。


 それでも、長年願い続けていた妹を救う方法が見つかったのだ。


 ――リアには感謝しないとな。


 俺はリアに改めて礼を伝える。


「いえいえ。確かに私が災厄の魔物と戦うためにこの世界に来たことは事実です。でも、それ以上にアリウス様の力になりたかったからです。ですから、放っておけるはずがないですよ」


 ……普段は暴走しがちな女神様だが、良いところあるじゃないか。


 俺がリアに改めて感謝の意を告げようとした、その時だった。


 ――うわぁあああああ!!


 村の入口の方から悲鳴が聞こえてきたのだった。


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