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第16話 称号士と夜のデート


「ったく、何を勘違いしてるんだ」

「びっくりしました……。もしかしてお二人がそういう関係なんではないかと……」

「んなわけないだろうが」


 俺は湯を用意しているリアを尻目に大きく溜息をつく。

 どうやらこの女神様は俺と妹が良からぬ関係にあるんじゃないかと勘違いしたらしい。


「もう一度言うが、ルコットの病気の治療のためだ。それ以上でもそれ以下でもない」


 俺はリアの準備した湯に王都で調達してきた薬草を浸ける。

 これ一本でもかなり上等なものだが、妹の病気のためだ。背に腹は代えられない。


「お兄ちゃん、準備できたよ」

「ああ、それじゃそこに座って」


 俺が促して、上着を脱いだルコットが背を向けて座る。

 ちなみに前はタオルで隠してもらっていた。


 俺の目の前にルコットの背中が晒される。

 そして、その背中には黒い蛇のような模様が刻まれていた。


「……あ」


 リアが小さく息を呑む。


 ――そう。これが妹の病気の正体だ。


 発現したのは今から数年前。

 高級薬草を染み込ませた湯を塗ればいくらかは楽になるものの、酷い時には激痛で立ち上がれないくらい調子が悪い日もある。

 今日などはかなり快調な方なのだ。


 ルコットの病状は手紙などのやり取りによって注視していたが、調子が悪い日の頻度は年々高まってきている。

 病気の進行を示すかのように、ルコットの背中にある黒い蛇の刻印は日に日に濃くなっていた。


 この病気を治す方法が見つかれば良いのに。

 そんなことを何度思ったか分からない。


「なるほど。そういうことですか」


「……?」


 ルコットの背中に薬草の湯を塗っていると、後ろでリアが呟くのが聞こえた。



 処置を終えた後でルコットは着衣を済ませるために自室へと向かう。


 ――さて、そろそろ俺も休むか。

 そんなことを考えていると、リアがパタパタと寄ってくる。


 そして、


「アリウス様ぁ! 夜のデートに行きましょ、夜のデート!」


 そんなことを(のたま)った。

 この女神は何を言っているんだろうか。


「お前な、もう遅い時間なんだぞ。村の案内なら明日付き合ってやるから」

「やーですぅー。今行きましょ! ほらほら!」

「ちょっ――」


 そう言ってリアは俺を無理矢理に玄関の方へと引っ張り出す。

 まったく、何を考えてるんだ?


「ルコット、少し出てくる!」

「ええ? こんな時間に!?」


 部屋の中からルコットがそんな反応を返すのも当然だろう。


 そして、俺はリアに押し出されるようにして家を出た。


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