但馬国山名氏
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永禄四年(一五六一年)十月 但馬国 出石郡 此隅山城 山名祐豊
「お前様、少しお話が……」
妻にそう切り出され、話を聞いたのは先日のことである。その妻が言うには、どうも丹後がきな臭いというのだ。甥である一色右馬三郎から歎願されたと言うのである。
丹後が若狭の武田に攻められている。助けて欲しいと。儂とて可愛い甥の言うことだ。後詰めを出すことは吝かではない。しかし、我らも人間。動くためには何かと物入りになるのだ。
そこで、我らはどう動くべきなのかを議論するために朝来郡の太田垣土佐守輝延、養父郡の八木但馬守豊信、気多郡と三含郡の垣屋越前守続成、城崎郡の田結庄左近将鑑是義。
それから七美郡の田公土佐守豊高、二方郡の塩冶周防守高清の二人も呼び寄せ、儂も含め総勢七名にて隣国である丹後国をどうするのか話し合うことにした。
「各々方、話は伺っておられるかな?」
儂がそう尋ねると皆が首肯をした。どうやら前提は省いて良さそうだ。この但馬国だが、儂が治めているようでそうではない。忌々しいことに国衆たちが強い権力を持っているのだ。
目の上のたん瘤なのが垣屋越前守。太田垣土佐守と八木但馬守も一癖も二癖もある人物である。田結庄左近将鑑は腹の底では何を考えているのかわかったものではない。田公土佐守、塩冶周防守も同様である。
「さて、どうするべきか諸将の意見を聞かせてくれ」
「儂は反対じゃ。丹後がどうなろうと我らの知ったことではない」
「左様にござる。我らは合力する必要はござらぬ」
そう声を上げたのは塩冶周防守である。同調したのは田公土佐守であった。彼奴等は但馬国の西側に位置している。参戦しても旨味が少ないと判断したのだろう。なんとも狡いことを考える。
「儂も反対じゃ。後詰めなどケチなことは言わずに丹後に攻め込めば良いのである!」
そう早急な案を出すのは田結庄左近将鑑であった。どうやらさらに領地を拡大せんと画策しているようである。これには太田垣土佐守と八木但馬守も同調していた。
「垣屋越前守、其方は如何考える?」
「……ここは静観するが吉かと」
「何を弱気な!」
垣屋越前守がそう述べると鼻を鳴らしながら田結庄左近将鑑がそれを窘めた。儂は田結庄を落ち着かせ、それから垣屋越前守の意見に耳を傾けることにした。こ奴らは仲が悪くて本当に面倒だ。
「垣屋越前守、どうしてそう考える?」
「このまま丹後に攻め入れば若狭の武田の不興を買いましょう。屋形様は武田と事を構える御積もりで?」
どうやら垣屋越前守は武田を恐れているようだ。確かに武田は代替わりをして勢いが付いた。何と表現すれば良いのかわからぬのだが、地力が付いたように思う。垣屋越前守の言うことは理解できなくもない。
「何を言う。所詮は武田ぞ。我らに敵うわけがない」
八木但馬守が述べた。そう、所詮は武田なのだ。名門である我らとは家格が違う。我らは西軍の総大将、山名であるぞ。元を質せば若狭も丹後も我らが守護だったのである。
「八木但馬守、よう申した。所詮は武田である。どうじゃ、折角ならば武田と一色が共倒れになったところで我らが丹後をいただこうではないか」
「おお! それは名案でござる!」
儂がそう述べると田結庄が同調した。皆も考えた結果、儂の考えに同調してくれるようだ。しかし、垣屋、塩冶、田公は乗り気ではないようである。
「ならば垣屋越前守は播磨の赤松らに備えよ。此度は儂、八木、太田垣、田結庄で攻め込むこととする」
「大義名分は?」
「三男の慶五郎を丹後国の正式な国主に推し進める」
儂の妻は一色の出である。もし仮に若狭武田が一色氏を打ち滅ぼしたらば、一色の血を継ぐ慶五郎の名を一色と改めさせ、周囲の国衆を従えれば良いのだ。
どちらにしても、まずは一色と武田の戦がどう転ぶか次第である。しかし、武田が勝つだろうな。一色義道は義兄ではあるが、暗愚であり人望も乏しい。勝てるはずがない。
「戦支度をしておくことを命ずる。怠ることなきよう」
「「ははっ」」
こうして儂は丹後を自分の物にするべく、漁夫の利を狙って兵を動かすのであった。
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