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乱戦混戦両軍入り乱れ

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 勇猛で知られる山県源内が先陣を切って丘を下っていく。それに続く宇野勘解由ら。広野孫三郎と梶又左衛門は俺を守るよう、両脇に待機していた。

 

 一色勢は俺達に対応しきれていないようだ。このまま押し切ってしまいたい。松宮清長と治郎助は……まだ体制が整わないようだ。早く戻ってもらい挟撃の形を取りたいのだが。


 ただ、横槍を突けている以上、此方が有利なのは変わりない。敵方は松宮清長との戦で消耗している。それに対し、此方は未だ無傷。押し切れるはずだ。そうに決まっている。


「狼狽えるでないっ! 落ち着いて態勢を整えぃ! 全軍、右向けぃ!」


 割れんばかりの胴間声が響いてきた。どうやら一色義定の声のようである。その一喝で敵方の部隊が引き締まる。そして、すぐさま右に反転して迎撃し始めた。やはり、そう簡単には崩れんか。


「弓を」


 広野孫三郎から弓を、梶又左衛門から矢を受け取る。俺はゆっくりと矢を番え、狙いを一色義定に定めた。

 叔父と細川藤孝と孫三郎から弓は嫌という程に手解きを受けた。武田流の弓術である。


 此処から一色義定までおよそ一町。百メートル以上ある。いや、高低差があるからもう少し距離があるかもしれない。


 此方は高所に位置しているので届くだろうが、当たるかまでは自信が無い。外れたら対策を取られてしまうだろう。一発、いや一射勝負である。


 まあ、外したところで不利益は生じない。そう肩肘張らずに弓を引き絞る。そして、呼吸を止めて一秒。真剣な目で矢を放った。


 矢はやや山なりに飛んでいき、そして一色義定が乗っている馬の胴に命中した。馬が嘶き一色義定が振り落とされる。やはり一色義定に当てることは叶わなかったか。弓の道は難しい。


 いや、逆に考えよう。この距離から一色義定に当たったとしても鎧に弾かれて終わるだけである。俺の力なんてそんなものだ。逆に馬だからこそ刺さったのだ。そして一色義定は落馬した。これを上手く活用するべきである。


「広野孫三郎、梶又左衛門、手勢を率いて一色五郎が流れ矢に当たり落馬して死んだと大声で騒ぎ伝えよ」

「承知しました!」

「かしこまった!」


 両名は数人の手勢と共に丘を下り、大声で一色義定が落馬して死んだと全員に伝え始めた。その声を聞いた味方の士気は上がり、敵方の士気が下がる。戦は士気の奪い合いだ。


「一色五郎不甲斐なし! 御屋形様が手ずから放った矢にて討ち死にされたぞっ!」

「一色五郎はとんだ橙武者であったぞ! 者共、今こそ好機ぞ! 押し返せぃ!!」


 一色義定が落馬したのは事実だ。さて、本当に一色義定は生きているだろうか。落馬して死ぬ可能性だって否めない。敵の勢いが見るからに弱まった。此処が好機である。


 そう思い、後詰めと共に突撃しようとしたところ、松宮清長の隊が叫びながら横から突っ込んできた。どうやら態勢を立て直して突撃してくれたようだ。


 押されていく一色勢。これは勝負があっただろう。先鋒が崩れた。そのまま山県源内と松宮清長に呑み込まれていく。


 そこからは早かった。山県源内が奥深くまで切り裂いたところで敵の雑兵が背を向けて逃げ出し始めたのだ。一人逃げたらもう一人、そして崩壊が始まる。


 そしてやって来る武藤友益。これで一色勢は完璧に詰みである。後は一色義定を捕らえるだけである。彼の首だけは殺してでも奪い取る。


「追い首は要らん! 一色五郎だけは何としてでも捕らえよ!」


 大声でそう指示する。この声が聞こえているかどうか定かではないが、言わなければ伝わることもない。言い続けることが大事なのだ。


 やがて周囲の兵達も同調して一色義定の身柄を探せと叫ぶようになってきた。雑兵は農民だ。この国の農民を、領民を無暗に殺すような行為はしたくない。彼らも雑兵なのだ。その気持ちを汲んでくれたのだろう。


「一色五郎義定、召し捕ったぁっ!!」


 遠くからその声が聞こえてきた。どうやら誰かが一色義定を召し捕ったようだ。ほっと胸を撫で下ろす。まずは

松宮清長と熊谷伝左衛門と合流した。


 どうやら一色義定は落馬し、背中を強く打ったらしい。そのせいで思うように動けなかったようだ。


「被害の程は?」

「二十は討ち取られ申した。申し訳ありませぬ」


 二十か。十分の一が亡くなったことになる。怪我人となればそれ以上だろう。これは少なく見えるが大きな被害だぞ。部隊の三割が死傷したら隊として存続が危うくなるくらいだ。


 そして慰謝料のことも考えねばならん。借銭しているというのに。戦をすれば銭がどんどん出ていく。商人が戦をさせたがるわけだ。


「仕方ない。むしろ責は無理をさせた俺にある。気に病むな」

「ははっ」


 その後、俺達が一色方の将兵を捕縛している最中に前田又左衛門と一条信龍、それから森脇相模守が参陣した。どうやら万願寺城を無事に落としたようだ。


 これでこの戦は我が方の勝ちである。俺は山県源内に声を掛けた。勝鬨を上げよ、と。山県源内が喜び勇んで声を上げる。将兵がそれに呼応した。


 どうやら丹後を何とか手中に収めることが出来そうだ。俺は皆にばれないよう、ほうと溜息を一つ静かに吐いたのであった。

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