ドン=フランシスコ
寝かしつけしてたら普通に寝落ちしました。
反省しています。ごめんなさい。
永禄十一年(一五六八年)三月 豊後国 丹生島城 ドン・フランシスコ
「その方が武田伊豆守からの使いか」
「はっ。小西ベントと申しまする」
「ほう。その方も伴天連の洗礼を受けておるのか」
「受けておりまする」
「儂と一緒であるな。儂は大友フランシスコである」
流石は武田。儂のことをよく理解しているではないか。伴天連教の使いを送り込んでくるとは。ということは武田も伴天連には傾倒しているようである。
「さて、儂に目通りということだが、何用だ。まさか伴天連の教えを説きに来たわけではあるまい」
要件はわかっている。対毛利のことだろう。儂らは門司城の戦いで煮え湯を飲まされている。ここらで一つ、巻き返しを図りたいところなのだ。何としてでも門司城を押さえたい。この九州から毛利を追い出したいのだ。
「もちろんにございます。御屋形様はフランシスコ様と共に歩みたいと仰せにございます」
ベントが述べる。武田も毛利を目の上のたん瘤と思っているようだ。東西の両方から攻め掛かろうという話なのだろう。
「こちらとしても願ってもない提案だ。武田殿とは敵対する理由がない」
「そう仰っていただけで安堵しました。そこでどうでしょう。我ら武田と商いをする御積もりはございませぬか?」
「ほう。商いか」
儂が大内から奪った日本国王の印をもって朝貢貿易を行っていることを知っているのだろう。そのほかにも琉球や李氏朝鮮と貿易を行っておる。それらを流して欲しい。そういうことに違いない。
それに宣教師がやってくるのもこの辺りが最初だ。肥前や対馬に流れ着くのである。やつらは必然と伴天連を保護している儂の元に来るのだ。伴天連に傾倒したのはそのためよ。
「しかし、どのように商いをするつもりだ?」
「船にございます。豊後国の岡城から船を出し、我らの鳥取城まで荷を運んでいただければと存じます」
鳥取までであればそう悩む距離ではないか。途中、尼子の支配している松江城も武田の庇護下といっても過言ではない。岡城から松江城、そして鳥取城か。
「いや、現実的では無い。毛利が邪魔をしてくるにきまっている。船が無事に通行できるとは思わぬ」
「では、こちらから向かえば商いはしていただけると?」
「そうだな。武田の船が岡城まで来てくれるのであれば取引には応じようではないか」
向こうから来てくれるというのであれば拒む理由はない。これも神の思し召しである。しかし、岡城。岡城か。あそこには志賀河内入道がいる。あとは河内入道に任せておけばよかろう。
それから山陰と山陽の情報を交換してお開きとなった。毛利はどうやら我らと武田の他、尼子や三好からも攻められているらしい。三好は阿波と伊予の三好が讃岐の毛利にちょっかいをかけているというのだ。
どうやら三好も一枚岩ではないらしい。毛利を積極的に攻めているのは十河隼人佑だという。今は毛利を牽制してくれるだけでありがたい。
「さて、儂もそろそろ動くか」
儂も門司城攻めへと動く。今は戸次麟伯軒道雪に任せているが毛利も吉川を動かしてきたようだ。長引けばこちらが不利になる。戦場が分散している今のうちに決めてしまいたい。
門司城さえ奪えれば豊後と筑前に毛利の後詰めを送ることが出来ないのだ。どうしても門司城だけは奪い取りたい。奪いたいのだ。
「兵を集めよ。後詰めに向かうぞっ!」
「ははっ」
近習に話しかける。近習は頭を下げ、直ぐに用意を始めた。二万は集めたい。こうなったら数を頼りに門司城を落とすしかないのである。
鎧具足を付けて儂も戦場に向かう。しかし、気にかかるのはベントが申したフランキ砲なる代物である。儂は知らぬが、もしやすると。
「供回りの支度が出来てございます」
「わかった。道雪の元へ向かうぞ」
門司城は落とす。絶対に、絶対にだ。その覚悟を胸に道雪と合流するため少数の供回りと共に北上したのであった。
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