不発
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堀久太郎に報告をしてもらう。やはり尾張は栄えているようだ。今川を降し、勢いに乗っていると言っても過言ではない。しかし、つい先日、河野島で一色勢に手痛い負けを喫したようだ。
その負けで足利義秋も信長を見限ったと聞く。矢島から北上して朝倉を目指していると聞く。たった一度の敗戦で信長を見限るとは。そんなに大きな負けだったのだろうか。義秋も堪え性が無い。
一色龍興の奇襲と大雨による河川の増水によって負けたという。この負けから墨俣一夜城に繋がるのだろうか。この策もあの竹中半兵衛の策なのだろうか。非常に興味深い。
「久太郎、上総介殿はどのような御仁であったか」
「はっ。御屋形様と同じく理と利を大事になされる方かと」
「そうか。商いは始められそうか?」
「美濃を落とした暁には是非にと」
ふむ。やはり銭の動きには敏いようだ。銭の大切さを理解している。しかし、もし本当に史実と同じく墨俣一夜城が建築されると、やはり豊臣秀吉、木下藤吉郎の台頭は避けられないだろう。
ただ、信長と繋がれたのは良かった。これで俺は北近江に食指を伸ばすことが出来る。高島郡を浅井長政が狙っている。だがそれを阻止したい。俺も琵琶湖に出たいのだ。
高島郡は以前から本多正信が調略に動いている。六角もみすみす失うようなことはしたくないはずだ。琵琶湖を奪えれば、其処を使って物流網を構築できる。そして信長とも交易できるようになるのだ。
琵琶湖に出る。これは必須事項だ。じゃなければ俺は信長を敵に回すことになってしまう。高島郡に中途半端に食い込むと、浅井が織田を伴って宣戦布告してくるだろう。
しかし、琵琶湖にまで到達していれば交易によって信長に大きな利を生むことが出来る。そうすれば信長も我らを潰そうなどとは思わないはずだ。我らと浅井を天秤にかけ、我らに利があると思わせる。
そうなると硝石の開発が急務になるのだ。信長が欲しがるものといえば硝石くらいしか思いつかない。それ以外は自国で賄えるだろう。他に何かあるだろうか。特産物を考えて日中を過ごしたのであった。
◇ ◇ ◇
そんな俺のもとに二通の文が届いた。手紙公方の足利義秋と平島公方の足利義栄からだ。まずは足利義栄の手紙を開く。そこにはこう記されていた。
要約すると、河野を攻めることは出来ない。そんなことをしている暇はない。今は畿内を制圧するのが先だ。それを手伝って欲しい。そんな内容だ。
わかっていない。何もわかっていない。それを手伝う代わりに河野を攻めろと言ってるのだ。足元を疎かにして畿内を制せると思っているのだろうか。
いや、違うな。つまりは遠回しに断っていると見るべきだろう。それならばそれで良い。義栄に協力する理由が一つ消えた。
「新吉、其方はこの文を読んで如何思う?」
「失礼いたしまする」
小姓の嶋新吉に文を読ませる。そして彼が読み終わり、考えが纏まるのを待った。もちろん、俺が平島公方に送った文の内容は事前に伝えてある。
「某が考えまするに、話を濁しているのかと。河野を攻めたくないので、うつけのふりをしているのだと推測いたしまする。足元に敵はつくりたくないのでしょう。河野を滅ぼせなかったらば、河野からの憎しみを買いますので」
「其方もそう思うか」
それを証拠として残すべく、俺は文を認める。相手は十河存之だ。平島公方が協力の打診を断ってきたので、金輪際、平島公方様にお味方することを止める旨をつらつらと記す。
ただ、平島公方との仲は悪くなっても十河、ひいては三好とは仲良くしたいですと都合の良いことは記しておく。駄目元だ。ただ、好意的であることは表明して置くことが大事なのだ。
好きだよと言って貰えたら悪い気はしないだろう。そういうことだ。これは遅かれ早かれ三好義継の耳に入るだろう。しかし……義栄は動かなかったか。これで西の戦線は膠着しそうだ。
東の朝倉も一向宗の相手で忙しそうだ。時々、奴らの無防備なその背後を襲いたくなってしまう。だが、攻め込む理由がない。意外とこの攻め込む理由というのが大事なのだ。正当性というやつだ。
世論が味方に付かなければその後の統治も難しくなる。幸い、朝倉には二つの火種がある。一向宗と景鏡だ。そのどちらも激しく動き始めたら瓦解の一歩だろう。黒川衆を呼んで越前に人を忍ばせておく。
そしてもう一通の手紙である。足利義秋からは信長が頼りにならないこと。そして越前に向かうので挨拶に来ることが記載されていた。どうして俺が向かわなければならないのだろうか。
確かに 従五位上の左馬頭である。いや、だったかな。だが俺は従おうとは思わん。むしろ、この手紙を信長に送って彼の好感度を上げさせてもらおう。
義秋も信長も利害関係は一致しているのだ。義秋と義景では利害関係は一致していない。いや、待てよ。それを一致させようとしたらどうなるだろうか。面白くなりそうではある。
義景を唆し、義秋とともに上洛させる。上洛ともなれば多くの兵が動くだろう。それを一向宗が見逃すだろうか。いや、この状況下で義景が動くだろうか。
義秋に義景と一向宗、下間頼総との和睦を促せば上洛に動くだろうか。しかし、和睦してしまっては一向宗が攻め込むことはなくなってしまう。
そもそもである。朝倉が三好と争うわけがない。一乗谷に引き籠って居たいのだ。それを失念していた。どちらにしても不成だろうな。
今の俺に出来ることは来たる日に向けてせっせと調略し、せこせこと銭を貯めることだけである。丹波も播磨も手強い。やはり狙うなら高島郡が一番だ。見返りが大きいのも高島郡なのだから。
そうだ、六角に文を送ろう。送り先は大叔父の承禎だ。観音寺の騒動以降、六角は持ち直しているとはいえ求心力の低下は否めない。付け入る隙があるのならば付け入らせてもらおう。
俺は手紙公方を真似、六角の重臣たちにも文をばら撒いた。もちろん大した内容ではない。ただ、義秋と義栄の両方から味方になってほしいという文をもらう。どうしたら良いか迷っている。
六角はどうするのかご存じだったらお教え願いたい。そういう文だ。返事が来ても来なくてもどちらでも良い。俺から文が届いたということが大事なのだ。俺から文を受け取ったと聞いたら、どう思うだろうか。
さあ、いろんなところを徒に掻き乱してやる。そういう思いで俺は筆を執ったのであった。
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