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遠征の終わりに

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 俺は龍野城攻略の総大将として居座っているものの、全ての指揮は官兵衛に任せることにした。一色義道のように暗愚な将であれば俺の指揮でも通用するだろうが、赤松政秀に通用するとは思えない。


 今回は電撃作戦でもなければ奇襲作戦でもない。こちらが有利な場面をつくりだせていないのだ。


 兵に余計な損失を出さないためにも官兵衛が指揮するべきなのだ。勿論、策として我らの兵を幾らか入れているが、官兵衛も入れている。ならば官兵衛にやらせる。その方が我らの被害が少ないからである。


「さて、お手並み拝見といこうか」


 そうして俺は官兵衛の指示を待った。と言っても、俺がすることは何も無い。本陣にて事態の趨勢を見守るだけである。程なくして銅鑼が鳴り響く。総攻撃を告げる銅鑼だ。


 龍野城を四方八方から攻め立てる。この頃の龍野城は現代とは違い、山城となっているので、主に攻め込めるのは南と東だ。西と北は険しい森の中である。


 塀に梯子を掛けて中に入ろうと試みる雑兵達。彼らも功を立てるのに必死だ。先に述べた通り田畑は荒らされてしまっているから、銭を稼がなければならないのだ。その境遇には同情する。


 それは領主たる俺の仕事だ。彼らには厚遇を持って接することを約束しよう。そして武田側について良かったと思ってもらいたい。


「ご注進でございます。一の門を突破し郭へと進み出でたとのことにございまする」

「分かった。励め」

「ははっ」


 さて、これで残すは二の門と郭、そして本丸である。仕掛けるならば此処だろうか。裏切らせ二の門が開けば落城である。俺ならばそうする。


 しかし、官兵衛は違った。どうやら目付によれば一の門を通るために内応させたというのだ。後から聞けば得心である。これで城内の将兵の心を折ったのだ。


 程なくして二の門も開いた。どうやらまだ内応者が居るとの報を流していたのだ。それで疑心暗鬼になった赤松勢が崩れた。崩れてしまったらもう立て直せない。そしてそのまま本丸が落ちた。鮮やかな手際である。


 本陣にて知らせを待つ。そのまま首実検に移る予定だ。捕らえた雑兵は全て逃す。部将は全て別所に引き渡す。できれば幾らかの銭と引き換えに別所に渡したいところだが、難しいようなら無償で引き渡そう。


「御屋形様、こちらを」


 そう言って黒田官兵衛が二人の男を引き連れてきた。その二人は縄に打たれ、髷を落とされていた。一人は高齢で今にも天に召されそうである。


「赤松左京大夫、赤松下野守の両名を捕らえてございまする」


 どうやら腹を召す前に捕らえることができたようだ。これは屈辱だろうな。しかし、俺にとっては朗報である。まずは市中を引き摺り回そう。俺が赤松親子を捕らえたことを世間に示すために。


 そして別所に売る。それができないなら別所に引き渡す。いや、別所では駄目だ。三木通秋に引き渡そう。三木通秋は赤松晴政の孫だ。


 つまり、赤松政秀は三木通秋にとって叔父にあたる。彼ならば引き受けてくれるだろう。そして置塩城を巡って揉めれば良い。そうなればこちらのものだ。


 正直、赤松も俺の縁戚に当たるといえば当たる。九代当主の赤松政則の妻が伊勢貞親の娘だ。俺はその貞親の次男である伊勢貞祐の娘が曽祖父の母に当たる。うん、遠戚過ぎるな。


「引っ立てよ」

「ははっ」


 掛ける言葉も無く、ただ蔑んだ目で彼らを見下ろして終わりだ。向こうも何も言わなかった。覚悟を決めていたのだろう。まだまだ生き恥を晒してもらうぞ。


 俺は城が落城してから悠々と城に入る。どうやら、そこまで城に被害は及んでいないようだ。悪くない城だが不便ではある。まあ、ありがたく使わせてもらうとしよう。


「ふう、これでなんとか西播磨は我らのものとなったな」

「おめでとうございまする」


 官兵衛が頭を下げてそう述べた。今回の龍野城攻略は官兵衛の功が大きい。信頼しても良いものか、判断に悩む。ただ、信頼してみたいとは思っていた。


「残るは備前だけだな。浦上は赤松攻めに加わらなんだか」

「次は我らと思うているのでしょう。これで我らと浦上三郎九郎の両陣営から挟撃されるのですから」

「ふむ……。では、今回の戦は此処で仕舞いにしようと思う。如何か?」


 俺は諸将にそう尋ねる。意図を汲んだ本多正信と黒田官兵衛がいち早く同意した。それを見て他の将も同意を示す。しかし、本多正重だけは俺にこう問い質した。


「宇喜多八郎は如何なさるお積もりでしょう?」


 そう、十河と共に北上している宇喜多直家である。確かに遊ばせておくのは勿体無い。であれば、彼らだけで備前を攻略してもらうのも一興か。いや、それで三好に領地を主張されたら面白くない。誰か残すか。


 そうか。正重は残りたいと言っておるのか。それであれば正重に命じるのが筋というものであろう。俺は正重に対し、こう命じることにした。


「では、三弥。其方にこの龍野城を任せる。備前攻略を其方に一任致す。励め」

「ははっ。ありがたきお言葉にございまする。必ずや備前を御屋形様に献上いたしましょう」

「うむ。官兵衛、其方は三弥の補佐をせよ。三弥も官兵衛の意見を汲むように」

「「ははっ」」

「また、浦上三郎九郎を説得できるのならば官兵衛の配下にすることを許す。我儘を申すようならば斬れ」

「ははっ」


 香山城の長坂勝繁も寄騎に付ける。俺は備前攻略を彼らに任せ、後瀬山城へと帰城することにした。今回の俺の戦はこれにて仕舞いである。


 ようやく、懐かしの後瀬山城へと歩を進めるのであった。

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