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因幡攻めの始まり

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永禄六年(一五六三年)九月 若狭国 後瀬山城


 俺の元に思わぬ使者がやってきた。本願寺の実悟である。彼が来るとは穏やかではないな。何せ彼は本願寺派第九世宗主の弟だ。一体何用だろうか。


「わざわざ遠いところご足労痛み入る。此度は如何されましたかな?」

「折り入ってお願いがあり、お訪ねさせていただき申した。どうぞ、我らを再びご支援下さいませ」


 どうやら支援の催促のようだ。加賀の一向宗と三河の一揆が劣勢になりつつあるのだろう。近々の敵である朝倉と最後の敵に成り得るであろう家康を苦しめることができるなら万々歳だ。


 しかし、ただで手助けするのは癪だな。何か引き換えに我らが得るものは無いだろうか。しばし考える。領地は無理だ。遠いし、そもそも割譲する気は無いだろう。


 じゃあ人を融通してもらうか。と言っても一向一揆の人材なんてたかが知れてるだろうしな。うーん、困ったぞ。融通して貰うようなことが無い。一つ貸しにしておくか。


「一向一揆は誰が指揮しているのだ?」

「加賀は七里殿が指揮されておりまする。三河は少々複雑なようで。今川の残党や三河の田舎侍などが加担していると伺っておりまする」

「三河の田舎侍とは?」

「本多何某に加藤何某、渡辺何某に後は……申し訳ございませぬ」


 どうやら全てを把握していないようだ。それもそうだ。三河の田舎侍と侮っているのだから。所詮は三河は尾張と遠江に挟まれている弱国という位置付けなのだろう。


 しかし、さて、これは良い話を聞いたぞ。どうやら家康の配下の武将のようだ。ここを我ら武田に引き抜くことが出来れば家康を弱体化し我が武田を強化することができる。


「戦況は如何か?」

「三河は劣勢に追い込まれております。年明けには……」

「そうか。では加賀はどうだ?」

「粘っておいでですな。しぶとく朝倉と対峙していると」

「分かった。では本願寺と加賀に兵糧を送ろう。とはいえ、まだ表立って朝倉とは争えん。小浜まで取りに来るよう伝えよ。そして三河は残念だが諦めよ」


 三河はここからでは遠すぎる。残念だが支援する術が無いのだ。とは言え、激戦だったようで復興するには時間がかかるようである。一気に勝負を付けるため、織田にも助力を請うたとか。


「ははっ」

「支援する代わりに頼みたいことがある。宜しいか?」

「出来ることであれば」

「その三河の貴殿らの味方となっている武将たちに会うてみたいのだ。出来れば召し抱えたいものよ。頼めるか?」

「お任せ下さいませ」

「では、私の前に皆を連れてきてくれ。そしたら荷を、兵糧を用意しよう」


 俺は報酬が先であることを実悟に告げた。これが成らなければ兵糧の無駄になってしまう。いや、朝倉を苦しめてくれている以上、そのようなことはないのだが。


 恐らくは全て無駄骨に終わるだろう。だとしても本願寺に貸しを作れたと考えたらば、安いものである。それだけ一向宗とは手強く、相手にしたくないのである。


「承知いたしました。手配いたしましょう」

「連れてきた数に応じて荷を増やすことを約束しよう」


 三河で本多。つまり本多平八郎忠勝のことだろう。ようやく我が軍にも剛の武将がやって来るのだ。一人欲しかったのである。武に長けた武将を。前田利家以来の武に長けた将だろう。いや、赤備えの飯富が居たか。


 何故か我が武田は武より文に重きを置く人間が多い。明智十兵衛しかり細川兵部しかり沼田上野之助しかりだ。井伊直親が今は我が軍の主攻だろう。


 真田幸村みたいな、山県昌景みたいな武将を待っていたのだ。本多忠勝は嬉しい。今、この場で小躍りして喜びたいくらいである。しかし、その喜びも長くは続かなかった。


 本願寺とは入れ替わりに井伊直親の家臣である奥山朝忠が俺に目通りを願ったのだ。つまり、西方戦線で何かがあったに違いない。


「六左衛門。如何した?」

「はっ。誠に恐れながら、因幡攻めに難儀しておりまする。願わくば御屋形様にご出陣をいただきたく、罷り越してございまする」


 どうやら毛利が裏で国衆の支援を行っているようだ。中心人物は有力国人である山田家治と山名氏の忠臣である中村豊重である。個人的には豊重のような忠臣を家臣にしたいところだが、本人は靡かないだろう。


「やはり毛利の息がかかっておるか」

「はい。安芸からの調略のせいで国衆達が一致団結しており、これが中々崩せそうにありませぬ」


 であれば、彼らを率いている将が入っているのだろう。毛利としても因幡を押さえることが出来れば尼子氏を挟撃することができる。死戦になるやもしれん。


「現状は一進一退か」

「はっ。押しては引いての繰り返しでございます」


 丹波も攻めねばならぬし、もう一つ身体が欲しくなる。とりあえず丹波は明智十兵衛に任せるとして俺自身は因幡国へと向かうことにしよう。


 もし、本当に毛利が裏で糸を引いているのなら、彼等と敵対することとなってしまった。だが、幸いなことに領土はまだ接していない。


 兵数は五百程集めていこう。そして将には山県孫三郎と山県源内、それから宇野勘解由に広野孫三郎の四人だ。それぞれに百を率いらせる。


「菊千代、彼等に触れを出してくれ」

「かしこまりましてございます」


 俺も戦の用意を行う。さて、今回はどうやって戦おうか。武田高信が兵を千五百程率いている。井伊直親が俺の命に従って二百の兵を率いている。そこで俺が五百の兵を持って援軍に向かう。


 対する相手は動ける兵を搔き集めることが出来て千五百だ。自領、自城にも兵を残さねばならん。残さなければ二千を超えてくるだろう。これで少しは優位に戦えるはずだ。


 ただ一つ、制約があるとすれば俺達は攻め込めない。いや、攻め込みたくないというところだ。だって恨みを買いたくないんだもん。憎しみは全て武田高信に。


「んー。よし、決めた!」


 方針を決めた俺は考えを纏めながら因幡の鳥取城へと向かったのであった。

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[良い点] 主人公の性格が好き。 ダークな面と、情の厚さのバランスがいい味だしていると思う。 人間としてのリアリティを感じる。 しょっちゅう失敗してるも、綱渡り感がでて、ついつい引きこまれてしまう。戦…
[一言] 本多は本多でも正信の方なのだが。軍師ばかり集まって来る。
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