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丹波国

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永禄六年(一五六三年)六月 若狭国 後瀬山城


 西の因幡攻めは善戦しているようだ。井伊直親に全権を与え、武田高信を総大将に据えて攻めかかる。どうやら武田高信との交渉は上手くまとまったらしい。


 また、勝久が尼子家との間を上手く取り計らってくれた。明智十兵衛に鍛えられただけはある。共闘して毛利に当たる利と、自身を殺して我ら武田を敵に回す不利をしかと説いたと言う。結果として上手く育っているようだ。


 毛利との国境は因幡国と播磨国にしたい。欲を言えば美作国、備前国も欲しいがそれは難しいだろう。いや、美作国は尼子が支配している。ここを勝久に支配させれば或いは。


 東の対朝倉、越前への対策も進んでいるようだ。こちらは沼田上野之助が上手く立ち回ってくれているようである。敦賀から今まで以上に銭が流れ込んでいた。朝倉は徐々に困窮してくるだろう。美味しいところを本願寺に持って行かれないようにしなければ。


 しかし、彼等は敦賀の他にも三国に湊を持っている。敦賀が使えなくなったとしても痛くも痒くもないのかもしれない。国力にここまで差があるとは。心が折れそうになる。


 今のところ、想定通りに上手くいっている。そう思っていた。そんな俺の前に現れたのがこの男、内藤宗勝である。どうやら伊勢兄弟の件は耳に届いているようだ。


「突然のご来訪ですな。本日は如何なされました?」

「単刀直入に申し上げる。丹波攻めにご協力願いたい」


 これはまた本当に単刀直入であった。どうやら内藤宗勝は丹波を攻めあぐねているようだ。丹波の守護代の家系である内藤氏を乗っ取ったのは、かれこれ十年程前か。


 しかし、丹波には赤鬼と青鬼が居る。さらに波多野までいるのだ。できれば余計な刺激を与えたくない。君子、危うきに近寄らずだ。


 だけど、内藤はそれを許してくれないだろうなぁ。俺が日和見をしていると感じたのだろう。内藤がこう切り出した。


「伊勢殿の件、御屋形様に上手く取り成せるか不安でございます。今、御屋形様は不機嫌であらせられる故」


 背景にあったのは三好長慶の嫡子、三好義興が病で倒れたという事実であった。病状は日に日に悪化しているらしい。この情報は黒川衆から既に得ていた。どうやら事実であるようだ。


 つまり、協力しなければ不機嫌な三好長慶に伝えてしまうぞと暗に脅しているのだろう。本当にそうだろうか。嫡子が亡くなればそれどころではなくなるはず。ここは強気の交渉でも問題ない。


 三好が強いのは兄弟の絆が、親子の絆が強いからだ。子と弟を失った長慶に今までの力があるか、それは疑問を持たざるを得ない。


 だが、勿論危険も孕んでいる。安全策を取るか、それとも強硬策を取るか。これは俺と内藤との心の読み合いだ。俺から口火を切る。


「松永弾正殿は何と?」

「兄上も武田伊豆守様にお手伝いいただけと」

「領地の取り分は如何しましょう?」

「攻め取ったものをそのまま領地と。丹波六郡のうち、何鹿郡と桑田郡、それから天田郡を押さえていただきたい」


 内藤が懐から出した地図で説明をする。その三郡だとおよそ十二万石くらいか。しかし、桑田郡を取ると丹波に深く突き刺さる形となってしまう。何鹿郡と天田郡を押さえるところで手を打ってもらおう。それでも七、八万石程あるはずだ。


 それに何鹿郡と桑田郡であれば丹波の赤鬼こと赤井直正と丹波の青鬼こと籾井教業を刺激しないはず。


 刺激しないとそう願いたい。赤鬼は黒井城、青鬼は籾井城を居城としている。どちらも南側で八木城から近い。


「まずは何鹿郡と天田郡、この二郡を当家でお引き受けいたしましょう。桑田郡はその後に」

「……承知いたした」


 やや不服といった様相で引き下がる内藤宗勝。ここは共闘できるだけでもありがたい場面のはずだ。もっと喜べよ。こっちだって無理して戦線を広げているんだ。問題は誰に攻めさせるか、である。


 浮いていた井伊直親は因幡国の攻略に使ってしまったし、もういっそのこと自分で攻め込んでみようか。


 いや、もっと慎重になろう。丹波国だけでおよそ二十五万石。今の我々とほぼ同等の石高を誇っているのだ。少し思考が自暴自棄になっている。自制しなければ。


 それに井伊直親から後詰めの依頼があるかもしれない。俺はここを動くべきではない。一難去ってまた一難とは正にこのことよ。


「それではしかとお頼み申し上げる」

「承知した。二郡は我らに任されよ」


 内藤宗勝が帰っていく。さてここからは頭を悩ます時間だ。敵が増えてしまったぞ。西には毛利、東には朝倉。そして新たに南に波多野その他が現れてしまった。浅井とも良好な関係を築けていないというのに。


 今は対朝倉に向けて内政に力を注ぎたい時期だったのだ。これから尼子が潰れたら毛利も攻めてくる。早めに強い国を築いておきたかったのだ。いや、逆に考えよう。七万石も増えるのだ。これで朝倉との差が縮まった。


 だが、逆に考えれば三好との、松永との絆が深まった。史実だとここから三好は凋落する。だが、毛利も朝倉も波多野もいずれかは滅ぼさなければならない相手である。切り替えよう。


 問題は誰を動かすか、である。空いている人材はいるのだろうか。それと波多野氏のことも理解できていない。敵も味方も把握できていないぞ。このままだと百戦して百敗だ。


 黒川衆に丹波を探るよう命じる。この問題は丹波の情報が集まるまで放置だ。まずは懐柔。駄目なら力で攻め落とす。それだけである。


 俺はここで考えるのを止め、堀菊千代を連れて川へ釣りに出かけたのであった。

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