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児童養護施設出身のA君のその後

作者: 山田相州



何年か前、中学校の同窓会に行ってきた。


同窓会には行きたくなかったので、毎年、欠席で出していたが、


卒業後20年たったので、行ってみることにした。


同窓会には一学年150人中、およそ30人が出ていた。


まぁ、そんなものだろう。


そのなかに、A君の姿があった。


絶対にこのような集まりには出ないと思っていたので意外ではあった。


私は、A君に話しかけた。


そして、そこで彼の20年を知ることとなった。


(以下、個人情報保護のため、やや改変して記述しております。)


我々の中学校の近くには児童養護施設(以下施設)があり、何人か通学していた。


そのうちの一人が同じクラスだったA君であった。


彼がなぜ施設に通うことになったかは知らないが、虐待だの育児放棄だのの話は少し聞いていた。


彼は、やややんちゃな性格で、サッカー部に入っていた。


勉強は苦手だったような気がする。


彼は中学卒業後、偏差値のつかない定時制の工業高校電気科に進学した。


勉強は好きではなかった彼は、電気工作については興味を持ったようだった。


高校卒業時までには二種電気工事士の資格を取っていた。


高校卒業後は施設を出て、電気工務店に努めたが、店主とそりが合わず、早くも一年目で辞めようと思ったらしい。


でも、やめると同時に家を出なくてはいけなくなるので、はたらきながら転職することを模索した。


彼はインターネットカフェを駆使して採用情報をかき集めた。


その中に、K市役所の電気職(高卒程度)というのがあった。


彼は、それの合格を目指して、問題集を買い、終業後に勉強に打ち込んだ。


一年間の勉強の末、K市役所を受験したが、筆記試験で不合格であった。


彼はもう一年勉強することにした。


二年間の勉強の末、今度はK市役所とY市役所を受験したが、いずれも筆記試験は合格したものの、面接で落ちてしまった。


しかし、彼はほかにK市役所技能労務職にも応募していた。


技能労務職は筆記試験も面接も合格し、晴れて工務店をやめることができた。


市役所は大体、25000円の家賃補助を出してくれるので、今まで、30000円のアパートに住んでいたが


50000円のマンションに引っ越し、補助分を差し引いて25000円で入居することができた。


仕事は、はじめは道路工事の手伝いであったが、三年目からは学校用務員に異動になり、学校の維持管理を主な仕事とした。


電気工事士の資格も活きて、30代半ばにして、技師補から正式な技師となり、給料も上がった。


市役所の仕事は大変な部分もあったが、人間関係が良好で、A君は合格してよかったとこころから感じた。


30代半ばに知り合った女性と結婚し、今度お子さんも生まれるらしい。


市役所の上司から、施設出身者は辞めないので、積極的に採用することにしているとの話も聞いた。


A君は、工業高校電気科出身という、専門性があったが、


普通科高校出身者はどうしたらいいかというと、給付金を受けながら職業訓練校に通う制度がある。


これに通えば、お金をもらいながら電気、機械、建築、調理などの勉強ができるので、おすすめらしい。


ほかの施設出身の女子は職業訓練校の調理科を出て、技能労務職につき、学校の調理員をやっているらしい。


年収は35歳で400万程度なので多いとは言えないが、良好な就労環境なのでやめるひとはほとんどいないとのこと。


辞める人がいないので、あまり求人が出ていないが、


「こむいん」や「koumuwin」などで求人を見かけたらぜひチャレンジしてほしい。


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