西原和美に関わりたくない
楠本輝は、昼休み生徒会室に行k…以下省略。
何故か最近生徒会長とばったり会う機会が増えてきた。輝はいい加減面倒いと思っていた。
こんな感じだと、もう、毎回顔を合わせることになるんじゃないか、それはもう静かな空間は手に入らないということではないか、と輝は真剣に悩んでいる。中間試験などどうでも良くなる具合にはその悩みに浸かってしまっている。
生徒会室に罪はない、そこにいる人物が問題なんだ。ゴムなんてあるわけないだろ。
あの人には羞恥心という言葉が分からないのか、男子が持ってるにはイメージが良くも悪くもで、女子なんてホントなんでだ。
まぁ、変人の部類には最初から入っていたようなもんだ。だから無視を続けよう。
輝は昼休み、誰も通らないはずの生徒会室の廊下にへたり込んでいたが、やっと重い腰を上げた。
もう少しで昼休みが終わりそうだからだ。
今日もそのペースに沿って教室に戻ろうとすると、「待ちなさい!」と怒気を孕んだような声が聞こえてきた。
しかし、俺は何もしていないので、無視をする。
すると、足音がだんだんと近くなる。ズンズンと足を踏みしめて鳴らしているかのようだ、相当に機嫌が悪そうだと輝は思った。
どうせ、厄介ごとなので、生徒会書記モードで真面目にその相手をしてみることにする。
そのために相手に振り返ってみると、そこには、風紀委員で名高い西原和美がいた。
出た。信者だ。
この人物は風紀委員でありながら、生徒会もとい生徒会長のように蜘蛛のようにまとわりつき、生徒会長をあしらう俺を亡き者にしようとするクソサイコパスだ。
俺はこいつにあった時点で、今日一日平和に生きることを諦めた。風紀委員という肩書きを使い、曲がりなりにも生徒会書記である俺を成敗とか言ってくるのだ。勝手によそでやっていてほしい。
輝は取り敢えず生徒会書記モードを発動して、穏便に済まそうとする。
「やぁ、西原さん、今日は何の用かな?生徒会長なら僕と話をしてどこかに行ってしまったよ。」
そんなことを言うと、西原は、
「そんなことは知っていますね、このドブネズミ。いい加減生徒会長に釣り合うような生徒会書記になってください。さもなくば、私はあなたを許しません。」
正直に言ったら許されなくていい、消えてくれ。
だがそんな言葉はおくびにも出さない輝。
ここから険呑な雰囲気が漂うかと思いきや、
「せっかくみてくれは悪くないんですから、その、やることぐらいやりなさい。」
何故か、キレキレボイスではなく、褒めの混じった激励のようであった。
頬が少し赤いのが西原らしくない。マジサイコパス。
それ以上何もいってこないので、輝は黙って立ち去ることにした。