葉小見との遭遇
輝は、生徒会書記をしているが、それだけではやはり気持ちが滅入る。
中学の頃はもっと運動していたので、せめて気分はだけはと窓から見ていると、陸上部にとある知り合いを見つけた。
俺はもう生徒会の仕事は終わっt、生徒会長を撒いてきたのでやることはない。
どうせだったらとあいつの気持ちのいい走りを見ておきたいと思った。
そして俺は別校舎につながる、陸上部がその近くを占領するコンクリートの溜まり場があった。
そこは高めの鉄棒を含めて、走り幅跳びのラインまである徹底した陸上部という感じでの場所だった。
輝は陸上部をやったりだとか、走るのが得意だとかそういうことはないのだが、早く走れるということは体の使い方が上手いと考えている。
つまりは、フォームとかを作って、それを維持すれば、安定したいい走りができるというわけだ。
そして、それが、速ければ速いほどそれは才能という形になっていくであろうが、輝は体力テストなどを考えると、まだまだへばっては入られないと躍起になるのだ。
もちろん、それでトップクラスの評価を取れる訳ではなく、輝もそこまでは取りたいとは思っていないのだが。
さっきも言ったように、ここに来たのは、とある知り合いの走りを見に来たからだ。
実はこの陸上部にいる葉小見優は輝の後輩で、きっかけは家の付近を散歩していた時だ。
葉小見の方から輝に話しかけてきて、「もしかして、先輩ですよね?」と確信をついてきた。
輝は、「そうだ。」と短くいい、「そっちこそ、陸上部期待の新人だと聞いていた。実際に会えて嬉しい。」と本心を述べた
すると、葉小見は、「へ、へぇ、そうですかぁ。私もやるもんですね。」と何やら嬉しそうに自賛してた。
そのとき、葉小見は余程率直に褒められたことがなかったのか、余韻に浸って嬉しそうに破顔させていた。
今日は、あいつを邪魔しない程度に見てやろうと思っていたが、こういうときばかりは気づかれる。
せんぱ~いと間延びした声に、その体をたぷんと揺らしてくる様は、額から流れる汗を太陽の光によって輝かしく、そして、自動的にその汗が流れ落ちるさまは、視線を徐々にその豊満ともいえる、たわわな果実のほうに意識的に誘導するのは確定的だ。
おっといかん。目的は十分に果たした。いい走りだ。もうちょっと空気抵抗を減らしたいような気もするけど。それも魅力ってことで。
俺は抑揚を抑えた声で、「俺はもう行くから、じゃあな。」といった。葉小見は気づいていない。
あいつは優秀なんだが、今が部活の時間だということを考えろ、邪魔したのは悪かったがさっさと戻れという輝のニュアンスと表情に気づいていなかったのか、どうやら陸上部の部長らしき人に怒られていた。
俺は知らん。
そして、葉小見の抗議する声が聞こえる。俺の名前を出した。しかし、今更いないことに気づいたのか、俺の名前を連呼する。
「輝先輩〜どこですか〜貴女の可愛い後輩が一人でしくしくコート整備ですよ〜怒られた責任取ってください〜。」
こういうあざといことはするな。本気だとしてもな。
若さによる行動の善悪が分からない状態に陥っていると見え、改めて冷静に見ると反吐がでる。
中学なんて俺も含めてみんなクソのようなものだった。
俺は平穏が1番なんだ。1人にさせてくれバカども。
輝はそう毒づいてどっかの図書委員と生徒会長と後輩を思い浮かべて、一色に伏し、家に帰るのだった。