05.【 そして、新婚夫婦はやってくる 】
鋼鉄のパンツがある。
そのパンツをはく女性は身持ちが固く、立派な女性だ。
そのパンツを脱がせる男性は愛を知る、立派な男性だ。
社交界に最近出回っている、怪しいうわさだ。
誰に聞いてもそんなパンツを見たことはないと言うが、ここ数年結婚した夫婦には幸せそうに見えるものと、明らかに男が憔悴している夫婦がいるらしい。
今日も当教会へ、昨日結婚したばかりの夫婦がやってきた。
それも三組。
あっけらかんとしている女性と、明らかに落ち込んでいる男性。
がっかりしている女性と、茫然としている男性。
そして二人仲良く泣いている夫婦だ。
新婚夫婦をみなれた私とすれば、三組とも良くある似た者夫婦で、見た目はお似合いなのだが、彼らにしてみれば、まああれだ。深刻な事態なのだろう。
「それで、今日はどんな迷いがあって当教会をお尋ねですかな」
「それが、その…………です」
明らかに落ち込んでいた男性が、はっとしたように顔を上げ、そう言った。
肝心の部分が聞きとれなかったが、パンツのこと以外ないだろう。
「……分かりました。とりあえずそれぞれにお話をお聞きしましょう」
私はそう言って、彼らを部屋に案内した。