表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まんまる虹の森  作者: NiO
9/10

逆さ虹の『森の神様』

 ここは逆さ虹の森。


 空に逆さの虹がかかる、不思議な森です。


 そんな森の真ん中に、光の柱が降り注いで、空の上から逆さ虹の『森の神様』が下りてきました。


 食いしん坊のヘビは、慌てて神様の元へ向かいます。


 集まった動物は1匹。


 2回目に会う神様を興味深そうな目で見ていました。


 そんな食いしん坊のヘビを楽しそうに見た後、神様は優しく言葉を発しました。


「さて、ヘビ君。


 第5回『森のゲーム大会』優勝おめでとう。


 気分はどうだい?」


「なんだか、力が湧いてくる感じがするぜ。


 まるで100匹分の力が、体の中にあるみたいだな」


「それは、ヘビ君が『ゲーム大会』……もう気づいていると思うけど、『蠱毒』を勝ち抜いたからだね。


 ヘビ君は、その存在が2つか3つくらい上がって、動物よりもむしろ、私たち神様寄りの状態になっているんだよ」


 神様は、優しく答えました。


「つうか、そもそも『蠱毒』って、100種類の毒を持つ生き物でやるんじゃねえのかよ。


 今回は100『種類』じゃなく100『匹』で、しかも毒を持つヤツもほとんどいなかったぜ」


「そうだね。


 確かに、今回参加した動物の中には、同じ種類の生き物も何匹かいたよ。


 でも、一匹たりとも、同じ『こころ』を持っている生き物はいなかった……当たり前、だけどね。


 そして、皆、多かれ少なかれ、『こころ』の中に、悪い『毒』を持っていた……これも、当たり前だけどね。


 だから、これは『100匹の動物を集めて行った蠱毒』じゃなくて、『毒を持つ100種類の『こころ』を集めて行った蠱毒』になるんだよ」


 神様は、やはり優しく答えました。


「ふーん……まあ、そこら辺の詭弁はどうでもいいや。


 それで、『蠱毒』になった俺は、一体どうなるんだ?


 まぁ、こんだけ大々的にやったんだ、殺すような使い道はしないだろ?


 俺の予想では、神様の使いになる、とか、森の守り神になる、とか、だと思ってるけどよ」


「うーん、そうだね。


 ほとんど、正解だけど、100点満点ではないかなぁ。


 どうやら、お人好しのキツネ君は、正解に辿り着いたみたいだし、ヘビ君も考えてみたら?



 ヒントは、今までの優勝者と(・・・・・・・・)……。




 この森の(・・・・)有名スポット(・・・・・・)、だよ?」


 神様は、とても優しく答えました。


 ヘビは、『どうでも良いから早く答えを言えよ』と表情に表しながらも、渋々考え始めました。


 歴代優勝者は、確か神様から最初の時に話がありました。


 チャンピオンの中に自分と同じ種族がいたので、ヘビはなんとなく覚えていたのです。


 確か、ヘビ(・・)リス(・・)ネコ(・・)カモノハシ(・・・・・)



 ……そして、この森の有名スポットと言えば。


 ドングリを投げ込んでお願い事をすると叶うという噂がある、『ドングリ池』。


 たくさんの木の根っこが飛び出した、『根っこ広場』。


 今にも落ちそうなくらいボロボロの、『オンボロ橋』。




 ……そして何よりも、空に架かる『逆さ虹(・・・)』……。




「え、え、え??


 あ、あ、あああああああああ!?」


気が付いたかな(・・・・・・・)


 そう、僕は、『森の神様』。


 君たち(・・・)動物の神様じゃあない(・・・・・・・・・・)


 君たちの命なんて(・・・・・・・・)どうでもいい(・・・・・・)


 この森を美しくする(・・・・・・・・・)ことだけが(・・・・・)僕の考える(・・・・・)至上命題なんだ(・・・・・・・)


 神様は、笑顔で優しく答えました。


「そう。


 『蠱毒』になった歴代優勝者たちには。


 この森の(・・・・)観光スポット(・・・・・・)になって貰ったんだよ(・・・・・・・・・・)


 2代目優勝者の意地汚いリス君(・・・)は、『ドングリ池(・・・・・)』に。


 3代目優勝者の嘘つきのネコさん(・・・・)は、『根っこ広場(・・・・・)』に。


 4代目優勝者の老いぼれカモノハシさん(・・・・・・・)は、『オンボロ橋(・・・・・)』に。


 そして(・・・)もちろん(・・・・)初代優勝者の(・・・・・・)あまのじゃくの(・・・・・・・)ヘビ君は(・・・・)、『逆さ虹(・・・)()



 まあ(・・)ほとんどダジャレ(・・・・・・・・)なんだけど(・・・・・)()


 神様はそうやって優しく答えました。


()いうわけで(・・・・・)


 神様に近くなった君には。


 この森を美しくする(・・・・・・・・・)ための(・・・)スポットの(・・・・・)1つに(・・・)なって貰う(・・・・・)


 スポットとして(・・・・・・・)存在する限り(・・・・・・)地獄の激痛が続く(・・・・・・・・)みたいだけど(・・・・・・)、この森を美しくするためと思えば、嬉しい痛みだよね(・・・・・・・・)






 ヘビが相槌を打つ間も許さず、そうやって一方的に捲し立てると。



 神様は、非情に優しく(・・・・・・)



 ……ヘビに(・・・)近づいていくのでした(・・・・・・・・・・)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ