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まんまる虹の森  作者: NiO
6/10

歌上手のコマドリ

 空を飛んでいたコマドリは、キツネの背中で休憩をしています。


「……で、どうでした?」


「……あっちでもこっちでも~♪、戦っている~♪」


「そう……ですか……」


 今のところ、コマドリが目となり、なるべく他の動物がいない場所を選んで進んでいるところでした。


 それでも一度、襲われたときには、キツネが倒してくれたのです。


「長丁場になるかもしれないから」


 と、キツネは倒した動物を食べて、一部をよく噛んでコマドリにも食べさせてくれました。


「……もしも~♪、最後の2匹になったら~♪、どうするつもり?~♪」


「う~ん……そうですね……2匹でクリアにならないか、神様に聞いてみます。


 ダメだったら、僕が死にますよ」


 キツネはあっさりと、なんでもないように言いました。


 そして、その言葉は本当だろうと思わせる強い目を、キツネはしていました。


「……お人好しすぎじゃ~♪、ないかな~♪」


「コマドリさんは、僕の大事な友達、ですから。


 ……昔、僕がアライグマさんにいじめられている時に、歌って励ましてくれたましたよね。


 あの時は本当に、心の底から救われたんですよ?」


 キツネの語った昔話を、コマドリは覚えていませんでした。


 悲しみにくれている動物がいたら、歌って励ますということは、コマドリにとって毎日の日課のようなものだったから、仕方がないことなのですが。


「……?


 そんなこと~♪、あったかな~♪」


「あはは、ありましたよ。


 ……あの日から、コマドリさんは僕にとって、特別な友達です。


 僕は、大事な友達を殺してまで、生き延びたくないだけなんですよ」


 コマドリは、キツネの告白に、驚きました。


 そして、自分の歌で、キツネがそんなに心を動かされていることを、うれしく思いました。


 だから。


 だから。


 周りの警戒をするのを(・・・・・・・・・・)疎かにして(・・・・・)しまったのでした(・・・・・・・・)




 先に気づいたのは、キツネ、でした。



 そして、その時にはもう既に、その動物は(・・・・・)キツネとコマドリを、射程圏内に収めていたのです。





ややややあ(・・・・・)きききキツネくんに(・・・・・・・・・)こここコマドリさん(・・・・・・・・・)げげげげんき(・・・・・・)?」





 笑顔のクマが(・・・・・・)、近づいてきたのでした。




「あ、ああ、まあまあ、ですかね」



 キツネはそういうと、クマと後方を交互に見ながら、逃走経路について考えていました。




どどどどうしたの(・・・・・・・・)? 


 ううう(・・・)後ろばっかり見て(・・・・・・・・)



 ききき傷つくなあ(・・・・・・・・)ななななんで逃げよう(・・・・・・・・・・)としているの(・・・・・・)?」



 クマもまた、笑顔のままで、キツネとコマドリににじり寄ります。




「ええ~♪、フフフ~♪、ところでクマさん~♪」




 コマドリは、キツネに目配せをすると。


 笑いながら、言いました。





「……どうしてそんなに~(・・・・・・・・)♪、血の匂いを~(・・・・・・)♪、させてるのかな?~(・・・・・・・・・)♪」




 クマが硬直した次の瞬間、コマドリは飛び立ち、キツネは弾かれた様に走り出しました。




 けれどコマドリは、見ました(・・・・)



 キツネより速いスピードで。



 その動物が(・・・・・)、キツネを追いかけるのを。



ごごごごめんねぇ(・・・・・・・・)えええ栄養をぉ(・・・・・・・)ととと取らないとぉ(・・・・・・・・・)ぼぼぼぼくもぉ(・・・・・・・)ししし死んじゃうから(・・・・・・・・・・)あああぁぁぁぁぁぁぁ(・・・・・・・・・・)!!」

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