いたずら好きのリス
神様は、いくつかの質問に答えると、優しい笑顔で空へと帰っていきました。
「それにしても、『ゲーム大会』ね。
3匹のヘビがどうとか、全然わかんないな」
そう独り言を言っているのは、いたずら好きのリスです。
「……まあ、3匹のヘビに関しては優勝者には何があるかのヒントとか言ってたし。
つまり、『ゲーム大会』優勝するのに必ずしも必要な情報ってわけではなさそうだな。
だったら、とりあえずは考えずに、横に置いておいてもいいでしょ」
そして、森の方へ視線を向けて、つぶやきます。
「確か、他にもいろいろヒントがあるって言ってたな。
とりあえず、森の中から探してみよう」
以前の優勝者にリスがいると言うことも関係しているのでしょうか。
いたずら好きのリスは、楽しそうに森の中の有名スポットを回ることにしました。
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「うーん、何もないなあ……」
いたずら好きのリスは、森の中の、いろいろな場所を回ります。
ドングリを投げ込んでお願い事をすると叶うという噂がある、ドングリ池。
たくさんの木の根っこが飛び出した、根っこ広場。
今にも落ちそうなくらいボロボロの、オンボロ橋。
けれど、特にヒントらしいヒントは見つかりません。
森のどこかに椅子でもあるのかと思いましたが、それも無いようです。
「うう、お腹すいたなあ……」
いたずら好きのリスは、恨めしそうに辺りにある木を見上げました。
なぜか木には、木の実もドングリもなっていなかったのです。
食べ物がたくさん取れる逆さ虹の森にしては、非常に珍しいことでした。
「あ、リスだ!
何か、わかったことあった!?」
振り返ると、暴れん坊のアライグマがしっぽを振って近づいてきました。
「うーんとね、どこにも椅子がないことと、森に食べ物がないことと、森の中にはあんまりヒントになるものを見つけられなかったこと、くらいかなぁ」
「そっかぁ!
それだけじゃあ、あんまりよくわからないねぇ!
でも、その情報で、一つだけ分かったよ!
これは、『椅子』のない『椅子取りゲーム』なんだな!」
アライグマの言葉に、リスは疑問符を浮かべます。
「『椅子』のない『椅子取りゲーム』?
それってどういう意味?」
アライグマは、首を傾げて不思議がるリスを。
一口で噛み砕くと。
口元を舌で舐めながら、言いました。
「バカなリスだな!
『椅子』のない『椅子取りゲーム』なんて!
弱肉強食の生存競争そのものに、決まってるじゃないか!!」