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創作の協奏曲  作者: 久遠未季
第一章 創作の協奏曲(クリエイターズ・コンチェルト)
4/78

※『機兵少女フリージア』企画書(抜粋)

※『機兵少女フリージア』企画書(抜粋)


●タイトル

機兵少女フリージア(きへいしょうじょふりーじあ)


●テーマ

十五センチメートル前後の対空間戦闘用機械兵

最大二十メートルの巨大異星人『ドレイク人』

心の証明


●あらすじ(原案小説の第一章あらすじ)

 三村良は生きている目的も、理由も、何もかもが喪失していた。だからこそ、ごく単純に「面白そうだから」という理由だけで高校の屋上から飛び降りるなどという、突拍子もない行動に出ていたのである。そんな彼のことを救ったのは、身長十六センチメートルの機兵少女フリージアだった。しかし、桃色の髪に翡翠色の瞳をもった彼女は、東高校放送委員会を母体とする情報組織『KHABC』が所有する、対異星人用の秘密兵器フェアリードール(FD)である。そのため、情報組織『KHABC』の機密に抵触した良は機密保持の名目のもと、委員長である鳳勇美の判断で、半ば強引に『KHABC』の委員となるのだった。ただ、外宇宙からの侵略者『ドレイク人』の撃退を目的とする『KHABC』に、良はどうしても思い入れが抱けないでいた。それでも、彼は受動的ながらも、次第に『KHABC』に馴染んでいく。特に、委員長の鳳勇美との仲は、急速に進んでいくのだった。

 しかし、そんな中で唐突に、鳳勇美は『ドレイク人』にアブダクトされてしまう。アブダクトする時点で、ドレイク人は既に、人間を殺害してしまっている――それらの事実をすべて飲み込んだ時になってようやく、良は自分が何の主体性もなしに行動していたということに気付かされる。そして、何もできなかった――何もしようとしていなかった自分を悔いるのだった。

 生きることの意味とは、何か。心があるということは、どういうことか。それらへ疑問は、十六センチメートルの機械兵である少女、フリージアにしても同じだった。自身をあくまでも「人間に奉仕するための、心をもたない道具存在でしかない」と規定する彼女。三村良が、自身の決心とは相反して動きが鈍くなった組織に焦りを感じていたのと同じく、フリージアもここ最近の心情の変化に戸惑っていた。だからこそ、間違いなく心をもった人間という生物であるはずの三村良が思い悩む姿に、強く心を動かされていた。しかし、その心の動きがフリージアに激高をもたらして、ついにはオーバヒートを起こしてしまう。それは三村良から――そしてフリージアから発され、受け取っている、量子共鳴通信の振動によるものなのだろうか。その判断も判然としないまま、彼女は機能停止という自己閉鎖に陥る。

 やがて、オーバヒートしたフリージアの代わりに、量産型FDクロッカス配備計画が進んでいく。人間と同じような心をもっているはずのフリージアを、まるで消耗品の道具として扱うその姿勢に、良は疑問を持っていた。そうでなくとも、死んだ鳳勇美がいなくなった穴までもが、まるでなかったことのように埋まっていく組織に、悔しさを覚えてもいたのだ。そして何よりも、彼はまた、身近にいたはずの存在を守れなかったのである。決心をしたというのに、その力があると実感したというのに、彼はまた、何もできなかった。思うようにならない事態、もどかしさに、彼は飛び出した。そんな彼の前に現われたのは――鳳勇美をアブダクトしたのと同じ、ドレイク人『ドレイクトルーパ』だった。「フリージアが機能停止中の今、ドレイク人が地球に降下する数は非常に多くなっている」という、委員長代理の言葉を思い出した時には、既に遅い。そう、生身の人類が立ち向かうには、ドレイク人はあまりに強靭である。彼は武器を身に帯びているわけでもなければ、全くの丸腰だった。しかし、追い詰められ、進退極まった良のもとに駆けつけたのは――機能停止していたはずのフリージアだった。対ドレイク人用に設計された兵器である少女は、危な気なく、ドレイク人を撃退する。そして、彼女は告げる。『リョウが、呼んでいるような気がしたから』と。量子共鳴通信の振動が、良と彼女とをつないだのである。

 そして、三村良はそのときには、ようやく自身のすべきことを見出していた。まず、鳳勇美がやり遂げられなかったドレイク帝国の打倒を実現すること。そして、自分自身の心の所在に悩むフリージアに、心の実在を証明してやるということ。無目的に生きていた良は、そのときには既に、目標を見つけ出すことが出来ていたのである。

 また、フリージア自身も、自身のシステムの根幹に心の存在があるのではないかということに気付き始めていた。その証拠に、量子共鳴の振動がなくとも、三村良のことを思うと、胸がざわめくのだ。頑なに否定しようとするものの、その『思い』は間違いなく、彼女の胸の内を揺らしている。


●人物・メカニック

三村良みむら りょう

 鎌谷市立東高等学校二年生の少年

 ・「面白そうだ」と思ったことはとりあえず行動に起こす、生まれついてのトリックスター

 ・学校の屋上から飛び降りたところをFDフリージアに助けられる

 ・そのことをきっかけにKHABCの存在を知り、やがてその委員にスカウトされる

「僕が何の理由もなしに屋上から飛び降り自殺を図ったら、周囲の人間はどんな反応をするのかな……ってね」


鳳勇美ほう いさみ

 三村良と同級生の少女

 ・KHABCの最高権力者である委員長

 ・傲岸不遜で自信過剰、そしてそれを押し通せるだけのカリスマ性と悪運の強さを併せ持っている

 ・三村良と恋仲になるが、まもなくドレイク人にアブダクトされてミューティレイトされて死亡

「ふーん。……でも、アタシには関係ないわね」


【KX-10-2『フリージア』】

 桃色髪の第二世代型FDの試験機、愛称はジア

 ・衣装を切り替えることにより機体の根本的な性質を変化させる『ドレスシステム』を採用

 ・極端に擬人化された容姿が特徴で、ごく一部に機械的な意匠が見られる以外は人間を十分の一のサイズにしたかのような姿

 ・通常のFDは二体以上の連携が大前提であるものの、本機のみは単独で運用される

 ・言動や行動は丁寧で身の丈をわきまえているかのようであるが、やや自信過剰な面がある(当人に自覚はない)

『ワタシはあくまでも、人間生物に奉仕するための道具存在です』


【KCR-11『クロッカス』】

 FDフリージアをベースにした、水色髪の地上専用簡易量産型FD。

 ・合計で十二体製造されていおり、主に委員の警護などを担当することになる

 ・出力が低いために完全な互換があるわけではないものの、FDフリージア同様に『ドレスシステム』を採用

 ・無口で必要最低限の言葉しか口にしない

 ・実はFDフリージアの記憶をそっくりコピーしている

『……』




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