※『弾痕のメタファー』企画書
※『弾痕のメタファー』企画書
●タイトル
弾痕のメタファー(だんこんのめたふぁー)
●テーマ
集合無意識を用いたメタファーシステム
たった一機が戦場での趨勢を左右する
歴史の修正
●あらすじ
全兵器統合システム『メタファー』。戦場のありとあらゆる情報を統合し、たった一機で数千の軍勢を率いることの出来る機能は、戦場の様相を一変させた。世界のどこよりも先駆けてメタファーシステムを採用した大東亜帝国は、世界大戦で快勝を続け、ついにアジア統一を成し遂げる。しかし、それに反発した勢力も遅ればせながらメタファーシステムを導入。かくして世界は少人数による大規模な戦闘という、熱くて冷たい戦争を繰り返すことになる。
大東亜帝国のオキタ大佐は敵国の残党討伐のため、新式のメタファを受領し、海洋決戦に望む。だが、そこで彼はメタファーシステムの真実――並行世界の存在を用いた暗喩式超時空並列計算機に触れてしまう。その結果、『知りうるはずがないはずの情報を知ってしまった』という矛盾によりシステムが破綻をきたし、オキタと彼の乗るメタファを残して周囲数十キロメートルの世界が消失。彼の愛する女性も、座乗する母艦ごと、この世界から『なかったこと』にされてしまった。「あのとき、選択を間違えていなければ……」と悔やむオキタだが、そんな彼の頭の中からも、愛する彼女の名前が消えかかっていることに気付く。
この世界を元に戻すには――新型メタファを売り歩く『死の商人』を問い詰める彼は、そこでさらなる事実を知る。「私は、この大東亜帝国という存在そのものを『無かったことにする』ことが目的なのですよ」と、オギと名乗る男は言う。オキタは激高し、オギに殴りかかるが取り押さえられ、自宅謹慎という名の軟禁状態に置かれてしまう。だが、そこで救いの手を差し伸べたのは、オギの助手であったはずの少女だった。「オギさんは狂っています。でも、アナタなら……止められる」と、オキタを手引きして軍のメタファと部隊の強奪を助ける。
大東亜帝国の軍中枢を掌握し、自らの計画を推し進めるオギ。そして、世界改変の起点となる埠頭をめぐり、オキタはオギとの決戦に望む。世界改変の起点とメタファを同期させれば、世界は変わる。世界から消失してしまった恋人も、蘇る。もはや名前も――顔さえも記憶から消え去ってしまった中で「それでも大切な女性だったんだ!」と叫びながら、オキタはついにオギを打倒する。そして、メタファは世界の起点と同期する。
目が覚めたら、あの海戦の日だった。母艦は無事で、そこに彼女もいた。そして、そこで彼はあのとき言えなかった言葉を――プロポーズの言葉を彼女に告げるのだった。
母艦にはあのときと同じように新型のメタファが搬入され、倒したはずのオギの姿がある。
もちろん、時間が改変され過去に戻ったのだから、それ自体は不思議なことではない。
しかし、『死の商人』の男は「また、会いましたね」と告げ――にやりと笑うのだった。
●人物・メカニック
【オキタ】
メタファのパイロットを務める青年将校
・由緒ある武士の家系で剣術の達人、階級は大佐
・実直で礼儀正しいが、ともすれば朴念仁とも言われるほど恋愛下手
「まさか、こんなことになるなんて……」
「ミナミ、オレは、オマエのことが……!」
【ミナミ】
メタファーシステム母艦『イド』の女性艦長
・オキタの恋人でもあるが、なかなかプロポーズしてくれない彼に、最近はヤキモキしている
・冷静沈着な指揮官だが、可愛いものには目がないという欠点を持つ
「もう、いつまでワタシのことを待たせるのよ……」
【オギ】
メタファーシステム搭載機を売り歩く『死の商人』の男
・陣営関係なく、最新鋭機をテストと称して格安で配給して回っている
・彼自身も優秀なメタファパイロットで、護身用のメタファを保有している
「銃を売る私が罪に問われるというのなら、包丁を売る金物屋だって罪に問われるべきじゃないかな」
【ヒシガタ】
オギの助手を務めるメカニックの少女
・彼女自身は特別な主義主張を持つわけではなく、純粋にメカが好きなだけ
・非常に人懐こく、オキタに気があるそぶりも見せる
「オギさんは、狂っているから。アタシは、アナタに止めて欲しいんだ」
【メタファフレーム】
メタファーシステムを搭載した人型兵器、通称『メタファ』
・本来、これがやられると部隊が無力化する『弱点』であるため、それを補うためにコストを無視した超兵器に仕上げられている
・高度な演算処理能力を誇るため、複雑な人型を難なく制御でき、人間の動きを正確にトレースすることも可能
・結果的に、達人が扱えば、これ自体が決戦兵器級の戦力を保持している
・実は人型であることがメタファーシステムにとって重要な意味を持つ