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平凡貴族の日常談  作者: ロイ
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学長

 リリアたちの入学当日、ロイ含む四人は魔術学院の学長室にいた。

 そこでは今後のロイの身の振り方から、リリアたちの配属までを事細かに話し合っており、その結果リリアはともかくリアナとレイナの二人はロイとの関係を伏せた方がよいだろうという結論に至った。

 まずリリアはマーキュリー家の子女という事で知名度があるが、リアナとレイナのアメジスト家は現当主のブルーが表だって動いている。

 しかし、アメジスト家とマーキュリー家の間柄は目立つことはなくロイと双子の関係は一般には知らされていない。

 もしかしたら情報通やマーキュリー家領地の人間は聞きかじった程度の知識はあるかもしれないが、それでもしらを切ってしまえばいいだけのことだ。


「では、私たちの入学時期が被ったのは偶然。

ロイとは貴族同士の晩餐会で話したことがある程度。

リリア嬢とも同様という内容で」


 代表してその場を締めくくったレイナの言葉に、学長含む四人はうなづいた。


「ならこれで話し合いは終わり、入学式は午後からです。

そこでロイ殿には新任教師としてのあいさつを行ってもらう手筈となっています」


「聞き及んでいます」


「本来であればリリア嬢にも入学制代表を務めていただきたかったのですが……」


 そこは他の帰属や平民の生徒に気を使った結果だろう。

 確かに生徒の区分で見れば、いや教員を含めたとしてもリリアはこの学院でトップクラスの才能を誇る。

 しかし、新任教師と新入学制の代表挨拶を同じ家柄の人間が行うのはそれなりに問題がある。

 ならば替えのきかない新任教師の挨拶は元の予定通り行い、入学制代表挨拶は他の者に任せてしまおうという結論は入学の半月前には出ていた。


「問題ありません」


 視線を向けられたリリアはそう言ってのけた。

 元より人前に立つことを好まない性格のリリアにとって挨拶を免除されるというのは非常に喜ばしい事だった。

 そのことを見抜いたのは、ロイただ一人だったが彼も内心面倒くさいと思っていたため何かを言うことはなかった。


「それでは、あと二時間ほどでしょうか。

まだ余裕もありますのでお茶のお変わりでもいかがでしょう」


 学長がそういって指を延ばす。

 それに合わせて部屋の隅に置かれたティーセットが浮かび上がり、既に飲み干してしまっていたカップにお茶を注ぎなおした。

 浮遊の魔術は高い風適性が必要となるが、難なくやって見せたあたり流石学長といったところだろうか。

 さりげなく実力の一端を見せつける、というのは牽制の意味もあるのだろうか。


 食えない爺だとその場にいた全員がそう思い、そして学長は口だけの笑顔を見せていた。

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