5話 今後の方針
ぬああああ、遅くなりました。
時間が無かったので短めで!
誤字や表現のおかしな部分等ありましたら、教えてください。
修正:就学年齢を7歳に変更。
コンコンッ
突然ノックの音が鳴る。
すぐ、部屋の外から玄関の方へ足音が向かっていった。
ちょうど追い出されていたパパが対応してくれたみたい。
誰か来たのかな?
ボクは玄関の様子が気になって、思わず外へ出ようとする……が。
「こら、リンちゃん。着替えが終わってからよ~?」
「でも……誰か来たみたいだし……」
「だから早く着替えなきゃ。男だってバレたらまずいでしょ~?」
「うぅ……」
ボクは仕方なく、ママに手伝ってもらいながら白いワンピースへと着替え始める。
着替え終わるとパパの呼ぶ声が聞こえる。
女物の服に戸惑いつつ、ママと手を繋いで応接間へと向かう。
「ママ……ボク変じゃない?笑われないかな?」
部屋に入る前、ボクは不安になって問いかける。
するとママは笑いながら頭を撫でてくれた。
「大丈夫、とっても似合ってるよ~?こんな可愛い子なら、誰も男の子だ何て思わないよ?」
変じゃないのは良いんだけど……正直複雑。
いや、ポジティブに考えよう。きっと大きくなればイケメンになれる!
コンコンッ
「失礼します」
「おう、来たか」
「こんにちは、お邪魔しています」
来ていたのはへんた……神父さんだった。
そう言えば明日来るとか言ってたね。
「ん?リンはどうした?」
「ふふっ、恥ずかしがって後ろに隠れてるよ~?ほら、ちゃんと可愛いからパパに見せてあげて?」
「うぅ……」
ボクは仕方なく、隠れいたママの後ろから出てくる。
「ほう……これはなかなか」
「おおう……似合ってる……ぞ……」
神父さんが頬を赤らめるのは予想していたけど、パパまで赤くなるのはやめて欲しい。
「言われた通り、女の格好しましたよ。これでいいですか?」
ボクはほっぺを膨らませながら、やや不機嫌気味に神父さんへ問いかける。
「ええ、とても似合っています。そのちょっと拗ねた感じも可愛らしい」
「リンちゃん可愛い!」
「さすが俺の娘だ!」
……何この人たち。
不機嫌なのも忘れて思わず脱力してしまう。
もう早く話を進めたほうがいいね、これ。
「今日はどういうお話ですか?」
「はい、今後の方針について確認していきましょう」
「今後ですか……」
「まず今日は早速女装されていますが、今後も女性として生活をしてください。……家の中でもです。」
「家の中でも……ですか。」
「やはり誰かが突然訪問してきた場合や、外から見られるとばれてしまう可能性が高くなります」
「家ではやんちゃなんです~って通りませんか?」
「通らなくはないでしょう……ですが、疑問を持たれるような行動は避けた方がいいと思います」
「確かに……」
「女性らしい立ち回りはお母さんから聞いてください。ですが、あまり細かくやると失敗する可能性もありますので、そう極端に変えなくていいと思います。ボクっ子を続けて問題ないでしょう」
「……はい」
何か……最後のセリフでボクっ子って言ったのに違和感を感じたんだけど、気のせい?これ普通なの?
一瞬この人の性癖が見えた気がしたんだけど……突っ込まない方がいいよね?
ボクの心の声が聞こえない神父さんは、まじめな顔で話を続ける。
「それとあなたはまだ2歳ですから、大きく活動するには幼すぎます。6歳になるまでは、可能な限り自宅で生活してください。7歳になれば学校に行く事になりますから、本格的に動くのは就学後にしましょう」
「学校?」
「ええ、基本的に7歳からは学校へ通うんです」
「ふ~ん……」
学校……ちょっと気なる。どんな事勉強するんだろう。
でも7歳から学校って、前世での小学校みたいな感じかな?
「それと、聖女としての噂を確立しなければなりません。その為にも……そうですね、半月に1回ほどのペースで教会に顔を出してもらえますか?私がお迎えに来ます。もちろん外出時には、護衛がつきます」
「わかりました。協会では何をすればいいですか?」
「そうですね……私が教会で祈りを捧げる時、一緒に隣で祈って頂ければいいです。後は……何か教会内での活動時に側に居てくれたり、余裕があれば隣の治療院へ訪問するようにしましょう」
「基本的に神父さんの側に居たらいいんですね。でも、あまり難しい事はイヤですよ?」
「大丈夫です。それと、イヤな事はイヤと言ってくれて構いません」
「それを聞いて安心しました」
そんなに難しい事はなさそう……良かった。
これくらいなら特に問題ない。
女装でお出かけするのも、とりあえずは月に2回ほどで済むみたいだ。
「神父さん、私たちも付いて行っていいですか~?」
「もちろんです。教会は来る者を拒む事はありません。むしろリンさんが安心してるので、時間が合うなら一緒に来ていただきたいです」
「大丈夫だ、こちらはそこまで忙しい毎日じゃないからな。リンの側に居られるなら、それ以上に有意義な時間はない」
パパ…ママ……。
ちょっと嬉しくなって涙が出そうです。
目が潤んできたから、ついみんなから顔を逸らしてしまいました。
「リンちゃん可愛すぎよ~?付いて来て欲しいなら、一緒にきてって言ってもいいのよ?」
「でも、ボクは神父さんの側にいる時間が多いから、パパとママが暇しちゃうよ?」
「お前の姿を見るだけでも、俺たちだって安心するんだ。一緒に行かせてくれ」
今度こそ涙がこぼれてしまい、思わず一番近くに居たパパへ抱きつく。
「それに、リンちゃんの修道服姿を見ない訳にはいかない!」
「そうだな!」
「オリジナルデザインで用意させています。期待してください」
……色々台無し。
この人たちは感動と無縁だきっと。
「あ、それと質問があります」
「なんでしょうか?」
「魔法の練習ってどうしたらいいですか?」
「魔法ですか……もう練習したいんですか?」
「家からあまり出られないなら、できる事をしておきたいんです」
魔法が使える事で、家族を守れるようになるかもしれない。
だから、なるべく多くの魔法を身につけたい。
「そうですね、自衛も出来た方がいいですから……宜しければ家庭教師を紹介しますか?」
「いいんですか?」
「ええ、恐らくあなたには並の魔法使いでは荷が重いでしょう。こちらから優秀な人を派遣させます」
「ありがとうございます!」
「魔法を使うなら、水晶が必要ですね。これを差し上げましょう」
そう言って神父さんが差し出したのは、小さな水晶の付いたブレスレットだった。
水晶の左右から白い上質な細い布で編まれた、細長い紐が伸びている。
一瞬ネックレスかと思ったけど、外見的にはどちらでも通用しそう。
「こんなのもらっていいんですか?」
「ええ、もともと差し上げるつもりで持ってきた物ですから」
「ありがとうございます」
早速左の手首に通してみる。紐は長かったから二重にする。
するとブレスレットが急に短くなり、自動的に長さをあわせてくれる。
ビックリするボクの様子を見て、神父さんが微笑む。
「よくお似合いですよ」
「凄いですね……本当にいいんですか?」
「聖女様への支給品だと思ってください」
なら、遠慮せずもらっちゃおう。
……返せって言われても返さないよ?ちょっと気に入っちゃった。
「普通は杖を使用しますが、最初はそれくらいでいいでしょう。より大きな水晶を使うなら杖に変えたほうがいいですが、体格的にもまだ無理そうですから」
「なるほど、大事に使います」
「家庭教師は一週間後ぐらいに派遣されると思います。それまでは自由に魔法を使ってみていいですよ。……あまり派手なのはやめてくださいね?」
「わかりました。でも魔法については何も知らないので、使えませんよ?」
「あなたはもう魔法を使えると思いますよ。最初に言いましたが、魔法はイメージです。ほとんどの人は詠唱を使用しますが、イメージさえしっかり出来れば必要ありません。むしろ、既存の魔法を先に教えてしまうとイメージが固定化してしまい、柔軟な魔法が出せなくなるかもしれません」
「わかりました、なるべく気をつけて小さい魔法から練習してみます」
「それでは、私はそろそろ帰ります」
そう言うと神父さんは早速立ち上がり、軽くお辞儀をすると帰ろうとする。
ボクは聞き忘れていた事があったので、慌てて呼び止める。
「あ、あの!」
「何でしょうか?」
「宜しければお名前をお聞きしてもいいですか?いつまでも神父さんって呼ぶのはちょっと……」
「そう言えばそうですね。う~ん……では、私のことはエドと呼んでください」
「エドさん?」
「はい、とりあえずそれでお願いします」
……偽名?もしくはニックネーム?
何かはっきり言わないけど、理由でもあるんだろうか。
まぁとりあえずいいかな?
「それでは、また半月後にお会いしましょう」
「「「ありがとうございました」」」
出て行くエドさんに、家族3人で手を振る。
とりあえずしばらくの方針が決まったし、頑張ろう!
「あっ、神父さ~ん!修道服送るの忘れないでね~!?」
「頼んだぞー!」
……おい
とりあえず方針が決まりました。
まだ年齢が低いので、なるべくさくさく進めたいと思います。
早いトコ就学時まで持って行きたいですね。
……入れたい話があるのでしばらくかかりそうですが。