表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊剣の一閃  作者: ウィク
第一章 聖女(リン・イチノセ)
4/52

3話 ボクの魔術適性

だいぶ長くなってしまった……。


誤字や表現のおかしな部分などありましたら、教えてください~!

 今ボクは神父さんに促され、水晶の前に立っている。早速適性を調べてもらえるみたい。

「これは……どうしたら良いのでしょうか?」

 使い方がわからないので、神父さんに聞いてみる。

「これだと思う属性の水晶に手を乗せて、目を閉じて下さい。適性があれば、頭にその属性のイメージが浮かぶと思います。次にそのイメージを保ったまま目を開けて、水晶に魔力を込めれば何かしら反応があるでしょう。」

「魔力を込めるって……どうやるんでしょうか?」

「水晶があなたの中にある魔力を導いてくれます。あなたは浮かんだイメージさえしっかり保てばいいのです。一度魔力を感じれば、次からは魔力を扱いやすくなると思います」


 つまり水晶は、初心者が魔力を感じられるよう手助けをしてくれるわけだね。

「魔法ってこう……呪文みたいのは、いらないんですか?」

「今回は魔力反応があるか見るだけなので大丈夫です。それに魔法はイメージによって作られます。つまり、強くイメージ出来れば、詠唱せずとも魔法は発現します。……もっとも、詠唱無しでは強くイメージするのが難しい為、できる人はまずいませんが。」


 なるほど。

 それにしても、丁寧で親切な人だね。初対面の子供にここまで説明してくれるなんて、さすが神父さん。

 ん~……どれにしよう。まぁ片っ端からやってみればいいかな?

 ボクは一人頷くと、すぐ目の前にあった赤い布の上にある水晶に手を乗せる。

 ちらっと後ろを振り向くと、笑顔で見守ってくれている両親の顔が見えた。

 思わずこっちまで笑顔になってしまう。


 ……布の色的に、多分『火』かな?

 何て考えながらゆっくりと目を閉じる。

「ふ~……」

 息をゆっくり吐きながら全身の力を抜いてみる。

 どれくらいやればいいんだろう?

 とりあえず、イメージが浮かぶまで続けるかな?


 10秒経過――30秒経過――――1分経過


 ちょ……全然浮かばないんですけど……、


 チラッ


 片目を開けて水晶を見る……反応なし。


 チラッ


 今度は反対側の片目を開けて両親の様子を見る……相変わらず微笑みながら見ている。


 まずい……二人とも期待してる?

 何かイメージ湧いてよー!!


 微笑み続ける両親に、ボクの事を信じてくれている気がして焦りが出てくる。

 いや……待てよ?

 さっき神父さんが言っていたじゃないか。魔法はイメージで作られるって。

 って事は、自分からイメージすればいいんじゃないかな?

 ……適性があればイメージが浮かぶって言ってたけど。

 いや、でも強くイメージ出切れば詠唱もいらないって言っていた!

 とりあえずやってみよう!


「すー……はー……」

 気分を変える為に深呼吸をしてみる。


 イメージ―――――――火。

 ライターの火じゃ……しょぼいね。


 強いイメージ―――――――派手なのがいいかな?

 ―――――――花火!

 派手だし綺麗だから良いよね!

 正直、前世の生活でも大きな火なんて見る事無かったし……よし!

 前世の記憶をあさり、花火のイメージを頭に浮かべる。

 弾が飛んで上がり……一瞬だけ咲く花火!!

 すっと目を開け、水晶を見る。


 するとさっきまでは透明だったのに、少しずつだが赤く輝き出す。

 それと同時に、体から少し力が流れる感覚がある。

 これが魔力……。


 さっきの感覚を思い出しながら、水晶に魔力を送り込む。

 水晶はさらに輝きを増す。


「あがれ」


 気がつけば勝手に言葉が飛び出す。

 期待と願いを込めた一言。


 言葉が終わった直後、水晶から赤い弾が撃ち上がる。

 地面と天井のちょうど半分辺りまで上る――――――と言っても建物が大きいからかなりの高さまで上がる。



 ドーン!!



 大きな音と共に空気を揺らす振動が建物や地面、人の体にまで響き渡る。

 音と共に現れたのは赤・紫・青・黄色と、光り輝く花火。

 そして一瞬で咲いた火の花が、すーっと消えていく。


 ――――ドサッ


 間を空けて、何かが地面に落ちる音がする。

 ボクは思わす振り返ると、そこには天井付近を見上げたまま呆然と佇む人。

 そして、尻餅をついたまま上を見上げる人。


 何か……やっちゃった感が……。

 ボクは思わず両親を見る。

 すると視線に気づいたのか、周りと同じように上を見ていた両親がボクを見る。

 呆然としていた顔がゆっくりと笑顔になっていく。

 と、思った瞬間、二人とも笑顔でボクに向かって走ってきた!

 パパはボクの体を抱き上げ、ママは持ち上がったボクの頬にキスをしてくる。


「リン!凄いじゃないか!!あんな凄い魔法を使えるなんて!」

「リン君!さすが私たちの子よ!!」


 喜び合う両親の様子に、さっきまで呆然としていた人たちも我に返る。

 そんな中誰かがボソッと呟く。

「キレイ」

「ああ……凄くキレイだった」

「とってもキレイだったわね」

 一人の呟きが聞こえた瞬間、次々と周りの人が同意する。

 そして人々は徐々にテンションが上がっていく。

「すげえ魔法だったな!」

「あんなの始めて見たぞ!!」

「って言うか、魔法なんて初めて見たわ!」

「俺もだ俺も!!」

「すげーぞ嬢ちゃん!」


 ……え?

 今なんて言った?


「女の子なの?」

「いやだってあの顔見ろよ」

「……かわいい」

「可愛い!」


 ちょっとまてええええええ!!

 あまりの発言に、唖然とする。

 慌てて否定しようとするがショックのせいか声が出ず、魚みたいにパクパクする事しかできない。


「……でもさっき、リン君って母親が呼んでなかったか?」

「でもリンって名前、どっちでも通用するね。」


 イイ所に気がついたね!

 ママからも何か言ってやってよ!


 そう思いながらママにアイコンタクトを飛ばす。

 するとキョトンとしていたママは、急に表情を真剣なものに変えて頷いた。


 よし、うまく伝わったみたいだ。

 ボクはほっとして笑顔になる。

 ママはパパに合図をして、ボクの姿が見えるように高く持ち上げる。

 そしてママは大きな声で


「可愛でしょ!うちの子リンちゃんって言うのよ!!」


 ちょっと待てママさんよ!?

 何言ってるんですかあなたは!!


「あれ?ちゃん付けじゃない?」

「……さっきのは聞き間違えか。すまんすまん」

「やっぱ女の子じゃない!」

「すげーぞ嬢ちゃん!!」

「可愛いー!!」


 誤解されてる~!!

 バッチリ誤解されてる!

 ママ!お願いだからこっちに親指立てながらドヤ顔するのやめて!!

 パパ!小声で「娘か……悪くない。」って呟くのやめて!聞こえてる!!

 ボクは二人の様子に脱力してしまう。


「お、おい!何か力尽きてないか!?」

「ホントだ!?大丈夫!?」

「魔力を使いすぎたのか?」

「……あれだけ凄い魔法使ったんだから疲れもするよな。」


 違います。





 5分後


「あの、他の水晶も試していいですか?」


 あれから少し経ち、弁解するのも面倒になったので別の話を振ってみる。

 するとビックリした顔で神父さんが走ってきた。


「あれだけの魔法を使った後です。疲れて先ほどのように気を失うかもしれません」

「いえ……さっきのは別に気を失っていないです……」

「しかしあれだけ炎への適性が強かったので、他の属性への適性は無いと思いますよ?」


 そうか、確か2属性持ちはあまりいないんだった。

 でもまだ他の属性が使えないと決まった訳じゃない。

 だから、試してみたい。


「……ダメですか?」


 少し小首をかしげつつ聞いてみる。

 これだけ優しい人だ、子供からのお願いは断れまい。

 ……別に腹黒くなんかないよ?


「うっ……わかりました。確かに可能性が無い訳ではないですね。すみませんでした」


 やったー!計算通り!

 でも頬を赤くして目を逸らすのやめて。

 それは計算外だから、何か怖い。

 この人ちょっと危ないんじゃ……あまり近づかないようにしよう。


「リンちゃん可愛い!100点満点よ!!」

「娘……イイな。」


 ちょっ……何言ってるのこの二人。

 しかもさっきからちゃん付けになってるし。

 それとママ……いつもの語尾につける『○○○よ~』はどうしたの。

 テンションあがるとキャラ変わる人だったのか……もしかしてこっちが素?


「では、試させてもらいますね~」


 空気に耐えられなくなったボクは、3人をほっといて水晶へ向かう。

 今度は……黄色い布だから雷かな?

 何かさっきはやり過ぎたから……今度は軽く水晶の周りに雷が取り巻くようイメージ。

 ゆっくり目を開けると、さっき見たいに魔力が抜けていく感じが分かる。

 水晶が黄色い輝く。

 ……これが雷の属性魔力。

 さっきの火の魔力とは違う感触、確かに違う魔力だ。

 雷の魔力が分かる。

 いける!

 そう確信した瞬間、水晶の周りがバチバチと言う音を立てて黄色く光る。


「おおお!!」

「すげー!!」

「あの子雷まで!?」

「雷の魔法使えるやつ何てほとんどいないぞ!」


 できた。

 チラッと両親を見ると、唖然とした神父さんの隣で微笑みながら見てくれている。

 他のも試すんでしょ?

 そう言っている気がした。

 ボクは何も言わずに小さく頷き、次の水晶に向かう。

 土、風、水は殆ど同じなので、省略しつつ説明する。


 土の水晶では土が回りに現れ、浮かんでいた。

 ……後で神父さんに掃除道具借りよう。


 風の水晶では、小さな風が吹き上がる。

 ……スカートの人すみませんでした。


 水の水晶では、小さなシャボン玉のような水玉がいくつか現れる。

 ……さっきの土と混ざってさらに床が汚れた。


 ここまで5属性、全て使える事が証明できた。

 属性魔力の反応が出るたびに周りから歓声が上がる。

 さて、最後に残っているのは聖属性。

 今ボクは聖属性の水晶の前にいる。

 既に手を乗せて5分経つ。

 でも……一向に反応が無い。

 と言うより、イメージが難しい。


 聖属性って……どんなの?

 火とか水とかはイメージできる。

 でも聖って……。

 アンデットを倒すやつ?

 でもそんなのここにいない。いたらとっくにパニックだ。

 聖……光?ただの光じゃ……。

 治癒って……聖なのかな?

 でもボクは怪我なんてしていない。

 そう言えば……隣は治療院だったよね?

 ……怪我した人がたくさんいたな。

 ボクに治す事ができるんだろうか。

 いや……治したい。

 魔法はイメージ、みんなを治せるってイメージすれば!

 傷を癒す!


 目を開ける、水晶が輝き出す。

 魔力をさらに込める!

 水晶がさらに輝く!!


「お願い!癒しの光!!」


 ボクの声にあわせて水晶が光り輝き、一瞬何も見えなくなるほどの光が溢れる。

 一瞬閉じてしまった目をゆっくりと開けると……。


「光の……羽?」

「わぁ……!」

「キレイ!!」


 優しく光る羽がたくさん空から降ってくる。

 ゆっくりと、ひらひら落ちてくる羽を手の平で受け止めると体が温かくなっていく。


「なにこれ……」

「温かい……」

「何かいい気分!」

「えっ!?俺の傷が!!」

「わ、私の傷も!!」

「ワシの腰が……痛くないぞ!」

「……歩……ける?」

「手が……動くよ!!」


 羽に触れた人々から驚きの声が上がる。

 みんな羽に触れて治っていく。


「やった……!!……あれ?」


 嬉しさのあまりガッツポーズをしようとすると、突然ガクッと膝がおちる。

 体の力が入らない。

 自分が倒れる瞬間、なぜかとてもゆっくりに見える。


「きゃあああああ!!」

「嬢ちゃん!!」

「リン君!!」

「リン!!」


 パパが物凄い早さで走ってくるのが見えた。

 さっとボクの体を支える。と、同時にゆっくりだった時間が戻る。


「あ、ありがとうパパ」

「リン、大丈夫か?」

「リン君?大丈夫?」

「はい……何だかとっても疲れた感じで……。でも大丈夫ですよ?」


 とても心配そうにボクの顔を覗き込む両親を見て、ゆっくりと微笑みながら答える。

 ボクの返答に安心したのか、まだ心配そうな感じは残っているものの微笑返してくれる。

 そこへ神父さんが歩いてくる。


「素晴らしい……とても素晴らしい魔法でした。あなたの優しさが伝わってきました。これほどの想いを魔法で発現させる何て……感動で胸が一杯です」


 神父さんが頬を赤くしながら、熱い眼差しを向けてくる。

 そんな目で見るのやめて下さい。

 思わず目を逸らすと、自分の周りに人だかりができている事に気がつく。


「大丈夫?」

「嬢ちゃん大丈夫か!?」

「傷治してくれてありがとう!」

「助かったぜ嬢ちゃん!」

「ありがとう、これで仕事ができる」


 花火の後から人が集まってきたけど、こんなに人いなかったはず……。


「隣の治療院にいた人達が集まっているんだよ」


 ビックリして周りを見渡すボクに向かってパパが教えてくれる。

 と言う事は、ボクはちゃんと治す事ができたんだ。

 嬉しさでボクの顔は勝手に笑顔になっていく。

 するとなぜか、集まっていた人たちが一斉に静まり返る。

 な、なんだろう?


「……聖女さま」

「聖女さまだ……」

「聖女様ああああああああああああ!!」


 ええええええええええ!?


「ちょ…ちょっと!」

「聖女様!!」

 慌てて否定しようとすると、いきなりママに抱きしめられる。

「リンちゃん可愛い!!最高よ!!」

「聖女様~!!」

「ママ!?」

「聖女様万歳!!」


 どうしてくれるんですか!?

 てかその聖女様コールやめて!うるさい!!


「……リン…ちゃん」


 パパ、ぼそっと呟くのやめて……聞こえてるから。


 その後もしらばらく、教会では聖女様コールが続いた。


「リンちゃん、これもう弁解するの無理だわ。私には荷が重いみたい」


 あなた(ママ)のせいですよー!?


一区切りつけるのに苦労しました。

いっそ前半後半に分けるべきだったかな?

でも投稿しちゃったからもう遅い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ