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精霊剣の一閃  作者: ウィク
第一章 聖女(リン・イチノセ)
3/52

2話 ボクの知らない世界

誤字や表現の変な部分がありましたら、ご指摘お願いします。


やっと話が進みそう。



「パパ~!どこ行くの~?」

 このままだと話が進まないと判断し、ボクの方から聞いてみる。


「今日は教会に行こう。リンに魔法適性があるか、確認をしに行こうな」

「魔法!?」

 ……今魔法って言った?ファンタジー系で定番のアレですか?炎やら氷やらを出すアレ!?


「そう、魔法よ~。魔法って言うのはね~、何も無い所から火を出したり氷を出したりする力の事よ~?」


 ……一瞬、心の中を読まれたのかと思った。ママはボクが魔法の意味が分からないと思って、説明をしてくれただけみたい。


「パパもママも魔法適性が無いから見せてあげることはできないけど、使えると便利だぞ。まあ、適性のある人ってあまりいないけどな。」


 なるほど、両親どちらも魔法が使えないからボクは見た事がなかったのか。

 魔法……か。お出掛けが楽しみになってきた!


「あら〜?リン君がニコニコしてる〜。」

 いつの間にか笑顔になっていたみたいだ。ママが微笑みながらボクの頭を撫でてくる。

 だって魔法だよ?テンション上がっても仕方ないよね。あ〜……でも、適性ないと使えないのか。むむっ……。


「ん?今度はちょっと不安そうな顔になっているぞ。……コロコロ表情が変わって可愛いな。」

「あらあら〜。早く連れて行って上げましょう?」


 よし、とりあえず行ってみないと分からないから今考えるのはやめよう。




 家を出る。

 ボクはパパに抱っこされながら、教会へと向かっていく。


 初めて見る外の世界。

 想像していたよりも整備された町だった。家の前には舗装された大きな道が続いており、家が沢山並んでいる。

 その中でもボクの家は大きい方だったけど、周りの家もそれなりに立派だった。

 ……土地が余ってるのか、それともここはお金持ちエリアなのかな。


「この辺りは住宅街で、商店街もあるよ〜。でも教会とは正反対の位置になるから、お買い物は今度行きましょうね〜?」


 頻りに首を動かしているボクを見て、ママは笑いながら教えてくれる。

 どうやらこの町は、中心付近に役所や教会、冒険者ギルドや闘技場などの公共施設があるみたい。

 そしてその中心から離れた位置に住宅街がぐるりと囲み、さらにその周りを商店街、冒険者または旅行者が泊まる宿などが並んでいるらしい。

 そしてその外側を高い城壁がぐるりと囲む、円型の町だって。


 ママの説明を聞きながら10分ほど進むと、十字架を掲げた大きな建物が見えてきた。どう見ても教会だ……わかりやすい。

 結構な人数が出入りしているけど、この人たち仕事はお休みなの?

 ボクは前世でも教会に行く習慣は無かったから、休みの日に教会で時間潰すのは勿体無い気がするんだけど……。

 そんな事を考えながら教会の入り口付近を見ていると、如何にも冒険者と言う格好の人たちも多く見える。

 そしてその人たちの大半が、血を流していることに気がつく。

「あれ?ママ、怪我してる人たちがいっぱい?」

「それはね〜、教会の側には治療院があるからよ〜」

「治療院?魔法で治したりしないんですか?」

 建物から出てくる人の中には、包帯を巻いている人も多い。回復魔法ってないのかな?

「回復系の魔法は魔力を沢山使うのか、大きな傷を治すのが大変なんだ。だから、動くのに問題ないくらいまで治して、後は時間経過による回復なんだ」

 冒険者をやっていた頃の経験か、パパが教えてくれる。

 なるほど、魔力も無限じゃないだろうからなるべく温存しているのかな。

 考え事をしていると、ママに肩をポンポンと叩かれる。

「リン君着いたよ〜?中に入りましょ〜」

 いつの間にか大きな入り口が目の前まで来ていた。ボクは思考を中止し、ワクワクしながらパパとママに向かって頷く。するとパパは正面が見やすいように抱っこの向きを変え、建物の中に入っていく。





 中に入ると、正面にある大きなステンドグラスが陽の光を浴びて綺麗に輝いていた。

「わぁ……キレイ……」

 あまりにも綺麗な光景に、ただそれだけしか言えない。もっと上手く表現したいけど、言葉に表すことができない感動。距離的に届くはずもないのに、ボクは思わずステンドグラスに向かって両手を伸ばす。

「可愛い〜。あんなに喜んで……連れて来た甲斐があったわね〜」

「あぁ、こんな嬉しそうな顔を見れただけでも、来た価値はあったな」

 横からママとパパの嬉しそうな声が聞こえる。

「あっ……。そ、その……あの正面に置いてある玉は何かな!?」

 ボクはちょっと恥ずかしくなり、話を逸らす。

「あぁ、あれは属性を確かめる為の水晶だ。あれに手をかざせば、自分に魔力があるかわかるんだ」

「……?でも、何で6個もあるの?」

 台座は6個あり、その上にはそれぞれ水晶が置いてある。


「よろしければ、私がご説明しましょうか?」

「わっ!?ビックリした!!」

 いつの間に側まで近づいたのか、30歳ほどの男性が声をかけてきた。 服装から見て神父さんっぽい。

「驚かせてしまってすみません。魔法適性をお調べに来たのかと思い、お声をかけましたが……」

「はい、この子の適性を見て頂きたいのです。お願いできますか?」

 パパはボクの頭を撫でながら、神父さんにお願いをする。

「お、お願いします。」

 このまま黙っていたら失礼かと思い、抱っこされたまま頭だけぺこりとお辞儀をしてみる。


 その様子を見ていた神父さんは少しビックリした顔をして、すぐに微笑む。

「とてもしっかりしたお子さんですね」

「でしよ〜?うちの子はとても可愛いの〜!」

「だろう!自慢の息子なんだ!」

 神父さんの言葉にママとパパが親バカスキルを発動する。

 また恥ずかしくなってきた……。

「あの……水晶が6つあるのは何故ですか?。

 話の流れを変えるため、ボクの方から神父さんに問いかける。


「この水晶にはそれぞれ、火・水・風・地・雷・聖の属性魔力に反応する機能があります」

「一つの水晶ではダメなんですか?」

「魔力は一つではないのです。それぞれ属性ごとに魔力が存在します。火の属性魔力があれば火の魔法が使えますが、水の属性魔力が無ければ水の魔法は使えません。

 また、あまりいませんが二つ以上の属性魔力を持つ人もいますね。例えば、火と水の属性魔力のある人が、火の魔法をたくさん使って魔力が無くなっても、水の魔力は火の魔力とは別なので水の魔法が使えます。

 もっとも、魔力を持っている人自体あまりいないで、二属性持ちとなるとかなり稀ですが……」


 ……う〜ん?つまり、魔力があるから色んな魔法を使えるわけではなく、それぞれの属性魔力があって、自分の持ってる属性しか魔法が使えない。しかも属性ごとに魔力が別にあるから、一つの属性魔力が切れたからといって、他の属性魔法が使えなくなる訳ではないと言う事かな?


「とりあえず、調べてみよう。話はそれからだろう?」

「そうね〜。とりあえずやってみましょ〜?」

 色々考え事をしているボクを見て、パパとママは微笑みながら後押ししてくる。

 笑顔で頷くと、パパは抱っこしているボクをゆっくりと地面に立たせてくれた。

「適性を調べてもらいたいです」

 ボクは神父さんを真っ直ぐ見て、自分の意思を伝える。

 すると神父さんは、微笑みながら水晶へ手の平を向ける。

「こちらへどうぞ」


 ボクは両手を軽く握り、水晶に向かって歩き出した。



ようやく魔法の存在が出てきました。

次回はいよいよ使える魔法がわかると思います。



10/27 魔術と魔法の変更。意味的にも語呂的にも魔法の方がいいと判断。

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