透明人間
掲載日:2013/12/11
僕は透明人間。
誰の目にも映らない透明人間。
誰も僕に目を向けない。
誰も僕に声をかけない。
僕はいるのに。
僕はいない。
空気のように。
そこにあるのに。
目に映らない。
同じ場所にいても。
僕という存在は認知されない。
誰も僕を見ない。
誰も見てくれない。
僕は本当にここに居るのかな?
僕はここにいないんじゃないかな?
だって、僕はここに居るのに。
誰も見ない。
誰も声をかけない。
それって、ここにいないのと一緒じゃないか。
あはは、と僕は笑う。
その笑いは虚しく僕の心に響いた。
僕はそこを後にする。
階段を登って扉を開けて。
そこには青い空が広がっていた。
空の色は綺麗だ。
透明な僕なら、きっとあの綺麗な青になれるんじゃないかな。
僕はそうして飛び立った。
でも、僕は空の青にはなれなかった。
不思議なことに。
透明な僕は赤に染まっていたんだ。
誰かの叫び声がする。
誰かが僕を指差している。
ああ、透明な僕にも色が付いたんだ。
できれば青になりたかったけど。
透明人間じゃなくなったんだ。
そう思うと僕は嬉しくて笑った。
やがて赤は黒になった。




