表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編

透明人間

作者: RK

 僕は透明人間。


 誰の目にも映らない透明人間。


 誰も僕に目を向けない。


 誰も僕に声をかけない。


 僕はいるのに。


 僕はいない。


 空気のように。


 そこにあるのに。


 目に映らない。


 同じ場所にいても。


 僕という存在は認知されない。


 誰も僕を見ない。


 誰も見てくれない。


 僕は本当にここに居るのかな?


 僕はここにいないんじゃないかな?


 だって、僕はここに居るのに。


 誰も見ない。


 誰も声をかけない。


 それって、ここにいないのと一緒じゃないか。


 あはは、と僕は笑う。


 その笑いは虚しく僕の心に響いた。


 僕はそこを後にする。


 階段を登って扉を開けて。


 そこには青い空が広がっていた。


 空の色は綺麗だ。


 透明な僕なら、きっとあの綺麗な青になれるんじゃないかな。


 僕はそうして飛び立った。


 でも、僕は空の青にはなれなかった。


 不思議なことに。


 透明な僕は赤に染まっていたんだ。


 誰かの叫び声がする。


 誰かが僕を指差している。


 ああ、透明な僕にも色が付いたんだ。


 できれば青になりたかったけど。


 透明人間じゃなくなったんだ。


 そう思うと僕は嬉しくて笑った。


 やがて赤は黒になった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ