眠る茨
さわさわと風が囁く
この地に残る城の跡を通り抜けながら
ひゅーひゅーと懐かしむように
とある部屋まで奔り抜く
其処は嘗て幼き姫が生まれ、眠りに就いた部屋。
風が啼く
運命のあの日を思い出しながら
十二人の美しい魔法使い達が呼ばれた日
醜き十三番めが呼ばれなかった日
幼き姫が祝福と呪いと、救済を受けた日
ざわざわと草木が踊る
随分前に自身たちの住居となった城の跡に佇みながら
ざざざっと思い出すように
その城の跡を見上げる
嘗て成長した姫が眠り、茨が生まれた日を
草木が靡く
運命のあの日を懐かしみながら
十三番めの醜い魔女が罠をかけた日を
美しき姫が紡錘の針に刺され、倒れた日を
成長した姫が呪いと救済を受け、茨が生まれた日を
がらがらと石が鳴る
まだ城で在ったその時を懐かしみながら
ぐらりと傾き落ちそうになりながら
いまだ残る部屋を見下ろす
其処は嘗て王子が辿り着き、姫が目覚めた部屋
石は落ちる
呪いの解けたあの日を思い出しながら
十二番めの魔法使いの予言が実現した日を
王子が現れ、茨を退けた日を
美しき姫が目を覚まし、恋に落ちた日を
風に乗り、石は落下した
生い茂る草の上に
その時の名残である茨の隣に
其れは嘗てこの場であった恋の物語
城が朽ちても尚、思い出される物語
(揺れる髪を靡かせながら
少女が現れる
その手に茨の花を持ちながら
廃墟と化した城の跡地に
その花を手向けた...)
姪っ子に本を読んだときに
違う視点で茨姫を書いてみたくなったんです
如何でしょう?
感想お待ちしております(ペコリ)




