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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

センパイの趣味とオレの運命

作者: 蒼目ハク
掲載日:2011/08/16

8月8日に夏ホラー作品として出品したものがもう一つあります。ご興味がおありでしたら是非お立ち寄り下さい。

「センパイ、何スか話って」

 外の灼熱地獄が嘘のようにクーラーが効いたマンションの一室。センパイに呼び出されたオレは、出された麦茶を一気飲みして聞いた。

「ああ、ちょっと相談なんだけどさ。実は俺、殺したい奴がいるんだ」

 テーブルに煎餅を盛った器を置きながら、センパイは淡々と言う。

「またっスか。一昨日トモキ殺したばっかじゃないスか」

 オレは呆れを含んだ素っ頓狂な声を上げた。

「うん、まあそうなんだが、こればかりは仕方ない。唯一の趣味なんだから。という訳で、また死体処理手伝ってくれ」

 センパイは真面目腐った顔でしれっと言い放つ。

「いやっスよ。大体先月二十人殺したでしょ。その度にオレは安い金で死体処理に駆り出されて、迷惑してんスよ」

 オレはこれまで積もりに積もった鬱憤を爆発させた。

「殺し足りないんだからしょうがないだろ。お前だって好物の人の死肉が食えるんだし、ギブアンドテイクだ。しかもこっちは金まで払ってる。一度に二度おいしいじゃないか」

 開き直るセンパイ。

さっきから蚊が飛び回っている。この家に虫を撃退する類の物は一切ない。

「いくら好物でも毎日だと飽きますよ」

 オレが言うと、センパイはこれみよがしに舌打ちする。

「贅沢者め。じゃあ牛や豚や鶏の肉を食うってか?」

 オレは有り得ないとばかりに首を激しく左右に振る。

「そんな可哀相な真似できる訳ないスよ。オレもそこまで残酷じゃないっス」

 飛び回っていた蚊が、テーブルに置かれたセンパイの右腕に着地する。オレは煎餅を取ろうとした手を引っ込めた。センパイは蚊に一瞥をくれただけで話を再開する。

「断るならお前を殺すまでだな。俺の秘密握ってるし、生かしてはおけん。残念だが、新しい相棒を募集するよ」

「そんな、人の頭スイカ割りに使うみたいな軽い言い方やめて下さいよ。あっさり相棒を捨てて恩を仇で返すなんてマジヒドイっス。この鬼! 悪魔!」

 オレは声を潜めて罵倒する。センパイの腕にいた蚊は、血をたっぷり吸って満足したのか、飛び去っていった。それを目で追ってから、センパイはオレを見据える。

「一応希望は聞いてやるよ。どうやって殺されたい? 絞殺、毒殺、銃殺、刺殺……。ちなみに俺が得意なのは刺殺。好きなのは絞殺な」

 愉快に話すセンパイに、オレは肩をガクッと落とした。

「殺す気満々なんスね……」

 

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― 新着の感想 ―
[一言] まさにブラックユーモアですね。掛け合いが面白かったです。もう少し長く二人の会話を聞いてみたいと思いました。
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