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魔物の襲来7

さすがにずっと待たせるのは悪いので、携帯から何時間もかけて投稿してみました。

脱線しかけた話を軽く強引に本筋に戻したいとおもいます。

その後、何度か下級もしくは中級の魔物に襲われたが、三人と一匹が剣や魔法などで退けつつ村に到着した。


ようやく着いた村は全体が魔に覆われ、酷い有り様だった。こちらまで魔に呑み込まれそうな、そんな気さえしてくる。


「これは、酷いですね…」


ほとんどの住人が魔に憑かれ、臥せっていた。

ユティシアは人々に浄化魔法を施して言った。


他にも村の様子を見てまわったが、魔にやられた村はまったく機能していなかった。魔物に破壊されたのか多くの建物が倒壊していたり、畑も荒れていたりして復興には時間がかかりそうだった。


「ユティシアの予想は当たっていたな…騎士団を要請するしかないようだ」

「そうですね。さすがに、国の機関だけでは対応しきれそうにありませんから」


三人は騎士団に向かった。





「何?“狩人”がいないだと?」

苛立ちを隠せないように、受付のカウンターを叩きながらディリアスが言った。


ここは騎士団支部の受け付け。ディリアスは討伐依頼をしようと受付に申し込みをしていたところだった。


魔物の、それも最強ランクの討伐には莫大な依頼料がいる。

しかしながら正直、国のお金がどうのこうのと言っている場合ではない。国が崩壊しかねないとまで言われる最強ランクの魔物が登場しているにもかかわらず、一つの村以外に被害が出ていない今の状況はむしろ幸運と言えた。お金はいくらでも出すから被害が拡大する前に魔物をどうにかして欲しい…それがディリアスの望みだった。


「すみませんね〜。“白銀の舞姫”は辞めてしまいまして」


受付員は悪びれる様子もなく返答する。


「剣聖アストゥールは?」

「行方不明です」


尋ねたユティシアに予想通りの答えが返ってくる。

ユティシアはがっくりと膝を落とした。


…やっぱりか。

アストゥールの放浪癖は変わっていなかった。ユティシアが彼に師事した当初は仕事をいくつかこなしていたが、ユティシアが一人前になってからはほとんど仕事をしなくなった。さらにはユティシアががむしゃらに仕事をこなすようになり、ユティシアに仕事を奪われたアストゥールが活躍する場は完全になくなっていた。


すべての民の平和を守る騎士団“光の盾”が、困っている民を、しかも多くの命が危機に晒されている状況において見捨てることは絶対にない。

しかし、今回ばかりはどうしようもないのだ。実力が及ばないのに、最強クラスの魔物は倒しに行くことは無駄死にしに行くようなものだ。騎士団に所属する上級の騎士でも最強ランクの魔物を足止めすることさえできないのだから。騎士団のなかでも“狩人”はそれだけ貴重な存在だ。


交渉の結果、狩人が到着するまで、取り敢えず村の人々の救出のための人員は派遣して貰えることになった。



村に戻った三人は、魔物を倒しながら、救出の手助けをしてくれる騎士団の到着を待っていた。


「それにしても、すんごい魔の濃度だねぇ。こんなのがいつも見えてるへーかは気が滅入っちゃうねー」

ゼイルが感心しながらいう。


「ゼイルにも、見えるのか?」

ディリアスが驚いて問う。


「普通に見えるよねー、ユティシアちゃん?」

「ええ、あまりにも強すぎる魔は、普通の人にも見えるのですよ―――こんな風に」


ユティシアの体から銀色の魔力がほとばしり、ユティシアの髪は激しく揺れた。魔力は銀色の炎のごとくゆらゆらと揺らめいてユティシアの身体を包んでいる。


その隣ではいつの間にかアルヴィンが臨戦態勢を取っていた。その小さな体からもユティシア同様、可視出来るほどの力がほとばしっている。


ディリアスとゼイルははっとしてアルヴィンの視線の先を見やると―――その眼前にはいつの間にか巨大な体躯をした真っ黒な魔物の姿があった。

あまりにもおぞましい姿に戦慄してしまう。この魔物には敵わないと、分かるのだ。本能が、そう告げるのだ。


魔物は咆哮を上げ、ゆっくりと獲物の方へ視線を向けた。その視線のもとでは、人は―――あまりにも無力だった。



ディリアスとゼイルは、魔物との初戦闘にして想像を絶する力と対峙することとなった。


二人は身を守るため剣の柄に手をかけつつも…無意識に一歩、足を引いた。



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