魔物の襲来3
医師や侍女たちがフィーナを見守る中、ユティシアとディリアスが到着した。
「フィーナ!」
ディリアスは荒い呼吸を繰り返しているフィーナに声をかける。
フィーナはディリアスに視線だけを向け、かすかに力ない笑みを浮かべた。ディリアスはフィーナの手を強く握る。
「先ほど、急にお倒れになったのです。呼吸が激しく、熱も出ていらっしゃってとても辛そうなのです」
フィーナを診察していた医師が告げる。
「ユティシア、フィーナを治せるか?」
「はい。ですが、フィーナの弱ったままの体では、追い出した途端また魔に憑かれるだけです」
「どうするつもりだ?」
「先に、城全体の浄化を行い、魔の侵入を防ぐ結界を張ります…国の中心であるここの機能が駄目になってしまってはお終いですし」
国王に仕える者が皆倒れてしまっては国が機能しなくなる。魔によって弱体化した国が侵攻されかけたことは過去に何度かある。それを防ぐためにも、この城を保護しなければならない。
ユティシアは、静かに目を閉じる。
「穢れなき力よ、この地を、清めたまえ…」
その途端、ユティシアから清浄な空気が広がる。邪なものがすべて洗われていくようだった。
魔眼を通して見ていたディリアスは、彼女の美しい白銀の魔力が魔を祓うのを見た。
「強き守りよ、この地へ入り込む悪しきものを、阻みたまえ…」
彼女の言葉と共に、彼女の結界が張り巡らされていった。
ユティシアが呪文を唱えない代わりに何らかの言葉を発するのは、使う魔法のイメージをより鮮明にするためだ。ユティシアが強固な結界を望むほどに、結界は強くなる。
魔法の行使を終えたユティシアは、目を開いた。
「次は、フィーナちゃんの体内の魔を祓いますね」
ユティシアは優しくフィーナの頭を撫で、頑張ってね、と声をかけた。
フィーナは指一本動かすのも辛い身体で、がんばる、と強い返答をした。
「祓え」
ユティシアはフィーナの前で何かを振り払うような仕草をする。
すると、フィーナの顔色はみるみる良くなり、穏やかな表情に戻った。
「良かった…」
ディリアスは安心したようでしきりにフィーナを抱きしめた。
魔が祓われた今はもう、フィーナの体調はだいぶ良くなっていた。
「それにしても、フィーナの魔眼は魔を防げなかったようだな…。それに、シルフィとアルヴィンのおかげで魔物には慣れているかと思っていた」
「彼女の魔眼は、そうは言っても弱いですしね…。それに、最強ランクの魔は強烈ですから防ぐのは難しいかと。あと、使い魔は魔を振りまいたりしないので、耐性を付けることは出来ません」
陛下くらいの魔眼なら簡単に防げるのでしょうけどね、と付け足した。
「それにしても…私の大事な家族に手を出した限りは、もう許せません」
ユティシアは怒っていた。…それはもう、今まで見たことがないくらいに。
「陛下、早く魔物を見つけ出しますよ。ディスタールに手を出したこと、後悔させてやります」
ユティシアは拳を握り締めながら言った。
いつものユティシアの口からは飛び出さないような苛烈な言葉を聞き、ディリアスは目を瞠った。
更新しなくて申し訳ないいぃぃぃぃぃ!
実はこの話、日曜日に仕上がっていたなんて、口が裂けても言えそうにありません。
次は更新早めにできるように頑張ります。