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魔法学校8

ユティシアとアルは馬車に乗って帰路についていた。

アルは、ユティシアのことが気になって仕方がなかった。頭の中をめぐるのは、先ほどの疑問。

ユティシアはそんなアルの視線に気が付かないのか、ずっと外の景色を眺めている。


「……なあ」

アルは決心して彼女に聞いてみることにした。


ユティシアはアルの呼びかけに気付き、ゆっくりとそちらに視線を向ける。

「何でしょう?」


「王妃様は何ものなんだ?」

「何者って…ただ者ですよ。一応、王妃という地位にいますが」

「お城に篭りっきりだったんだろ?何でそんなに魔法が使えるんだ?」


ユティシアはようやくアルの聞きたいことが分かり、そういうことですか…と呟いた。


「実は………………」

ユティシアが口を開いたとたん、馬車に大きな衝撃が走った。


「またですか…これほど多いのはおかしいですね」

馬車の外に出ると、魔物が3体、馬車を取り囲んでいた。御者はどうやら無事のようで、がたがた震えながら身を縮めている。


「下級ですね。アル殿、初めての任務が事件続きで申し訳ありませんね」


ユティシアは炎で魔物を焼いて再び馬車に乗り込むと、御者は再び馬車を走らせた。


ユティシアは魔物との遭遇について疑問に思うことがあった。

これほど魔物が出現するのは異常事態だ。ディリアスはこの国には魔物はあまり出ないと言っていた。だが、今日はかなり狭い範囲で二度も遭遇している。


ユティシアが考え込んでいると、アルが興奮して話し掛けてきた。

「なあなあ、さっきの話の続きは?」

…完全に頭から飛んでいた。

ユティシアはすみませんね、と言いながら再び話し始める。

「…アル殿は、“白銀の舞姫”を知っていますか?」

「ああ、騎士団の中で最強の魔法師と謳われた女のことだろ?」

「…あれ、私なのです」

「………………………………は?」

アルはよほど驚いたようで、少しの間固まっていた。


「それ、陛下は知ってるのか?」

「いえ、陛下は心配なさるので、申し上げていません。内緒にしておいて下さいね」

ユティシアは両手を顔の前で合わせ、可愛らしい仕草でお願いする。


…こういうの、陛下が見たら喜ぶんだろうなあ。


年下のアルでも時々ユティシアが可愛いらしく見えてしまうくらいだ。ユティシアを溺愛するディリアスが見たら一発で陥落するだろう。


アルがそんなことを考えている内にユティシアはまた何事か考え始めた。彼女の表情は真剣そのものだ。


…ユティシアが考えるのはもちろん魔物のこと。

ユティシアは魔物の増加のほかに、最近魔に侵される者が多いことに気付いていた。騎士団に行った時、令嬢に誘拐された時、そして魔法学校でのこと。これらに関連がないはずがない。


――――“黒い靄がかかったように、魔力が見えないのだ” ――――


ふと、陛下が以前口にした言葉が脳裏に浮かぶ。


魔眼を持つ者だけに見える黒い靄とは――――それが魔物のいないところで見える意味とは――――。


ユティシアはそのすべてを繋ぎ合わせて考えていく。


もしかして――!?


自分の予想が正しければ、この国にとんでもない事が起こっている。これは、国の存亡に関わることだ。

一刻も早く城に帰り、調べてみなければならない。いや、その前に何らかの策を講じるべきか。


ゆっくりとがたがた揺れながら走っている馬車の中で、ユティシアの気は焦るばかりだった。






この国に何が起こっているんでしょう?


とりあえずユティシアさんの大活躍があることは間違いなしです。


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