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魔法学校6

空を見上げると、鳥のような形状をした魔物が何匹も飛び回っている。しかし、これだけではないはずだ。先ほど結界に穴を開けた上級の魔物がどこかに潜んでいるはずだ。


「王妃様、いけません!逃げてください」

教師たちは王妃を最優先に守ろうとするが、王妃は取り合わない。


「戦わないで下さい。先ほどあんなにも魔力を消耗されました。これ以上は危険です」

先ほど、呪文を使わずに上級以上の魔法を2つも使用したのだ。さらには、結構な量の魔力を分け与えてしまっている。

普通ならば、魔力はほとんど尽きてしまっているはずだ。


「大丈夫です。魔力の量には自信があります」

そう言っている間に第一陣が襲い掛かってくる。


正直、身体強化なども使って戦いたいところだが…ドレスでは身体を動かせそうもない。

…仕方がないが、今回は魔法だけで戦おう。


ユティシアは手を振るって、襲ってきた敵をすべて氷で貫いてしまった。他にも小物が残っているが、それは教師たちで十分対処できるだろう。


「さて…大物は、どこでしょうね?」

ユティシアは神経を研ぎ澄ます。


…いた。

ユティシアの後方から、気配がした。


ユティシアは振り返って炎を放つが、すんでのところで避けられてしまう。

魔物は空に舞い上がり、もう一度攻撃する機会を狙う。


…私も、まだまだですね。

ユティシアには、魔力の制御が出来ないという最大の欠点がある。今では努力によって人並みにはできるようになってきたが、ユティシアがそんな欠点を持っていながら今まで魔物と渡り合えていたのは、並外れた剣術の腕前のおかげだ。“剣聖”と呼ばれるアストゥール仕込みの剣術は、完璧に欠点を補い、ユティシアを何度も救った。


今は、剣術の使用は出来ない。どちらにせよ、今までのように剣に頼るわけにはいかない。王妃となった今、ドレスを身に纏い、優雅な生活をしているユティシアにとって、剣を持てる機会はほとんどない。だからこそ、もっと魔法を鍛える必要がある。


魔物は、もう一度ユティシアめがけて突進してくる。


魔物は明らかにユティシアを狙っている。それは、この中で一番魔力が強いからだろう。魔物にとって、魔力は最もおいしい餌である。…シルフィとアルヴィンがユティシアの魔力を好むように。だから魔物は魔法師を襲いやすいのだ。

そうなると、この学園に来たのも納得がいく。魔力であふれているこの学校は、魔物にとって格好の餌場となるのだろう。

…少し、これからは警備を見直す必要がある。今まで上級の魔物が襲って来なかったのが奇跡だ。


などと考えているうちに、魔物が近付いてくる。


ユティシアは呪文を唱えた。

…できるだけ、繊細に、正確に。


ユティシアが普段戦闘では使わない呪文を言う。これは、魔法の制御をより細かくするためだ。

呪文は、魔法を正確に使ったり、魔力の消費を押さえるために補助する役割を果たす。魔方陣なども同じだ。さらに、杖などを使うとよりその効果が強くなる。


ユティシアは魔法で障壁を築き始める。半球状の障壁が徐々に子供たちを守るように広がっていき、ほぼ全体を覆う――――寸前。


「だめだ、間に合わない!」

アルが叫ぶ。


唯一障壁のてっぺん部分がまだ開いたままだった。


その穴を狙い、魔物が降下してくる。障壁は、ものすごいスピードで突っ込んでくる魔物を防ぐには、間に合いそうもなかった。


誰もが、もうだめだ――――――と思い、諦めるように目を閉じた瞬間。


魔物の、劈くような叫び声が聞こえてきた。

見ると、魔物は障壁の穴にはまったまま、動けなくなっていた。


ユティシアは魔物が飛び込んで来るのを狙って、穴を閉じたのだった。


…本当は、障壁を完成させて魔物の身体を分断しても良かったのだけれど、ね。

敢えて捕獲するだけにとどめたのには意味がある。


「アル殿、今です!魔物を倒してください」


ユティシアが放心状態になっていたアルに言う。

アルはユティシアの声で我に返り、最大限の力で魔法を発動させた。


「行けぇ!」


アルの叫びと共に魔法は魔物に直撃し、魔物は跡形もなく消え去った。


今回は最強ユティシアさんの戦闘をノーカットで載せてみました。


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