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魔法学校5

実技の授業も終わりに近付いた頃、ユティシアは一部の生徒や教師たちが騒ぎ始めたことに気付く。


「一体どうしたんだ?」

アルも周りの雰囲気がおかしいことに気づいたようだ。


ユティシアとアルは騒ぎの中心に足を速める。

人ごみを掻き分けて行くと、中心には一人の女の子が倒れていた。周りを教師たちが囲んでいる。


「いくら待っても回復しないぞ…ただのめまいではないのか?」

「これは、病気などではないようですが…」

学校に勤務していると思われる医師が少女を診察する。

「身体の方に原因はないようです」

「嘘だろう!?こんなにも苦しんでいるのに」

少女は汗をかいており胸は激しく上下していて苦しそうなのが分かる。


「私、騎士団で聞いたことがあるのですが、これは“魔”ではないかと…」

一人の教師が青ざめながら口にした。


―――――魔。

魔法学校の教師も、言葉だけなら知っている。確か、魔物の念から生まれるもので、人の負の感情を増幅させたりするという。


しかし、他の教師たちは大変な事態だということに気付いていないようだった。

「だが、魔は心に影響を及ぼすだけで、人体に害はないはずだ」

「しかし、上級の魔物から生み出された魔は違うようです。子どもは魔に侵されればすぐに倒れてしまうようです」


教師たちはしん、と静まり返る。

…それが本当だとすると、自分たちになす術はない。


魔を浄化できるのは、生まれつき特別な魔法を使える才能を持った者たちだけだ。そういう者たちは、浄化だけでなく治癒魔法なども得意で、魔法師たちの中でもごくわずかしかいないらしい。


途方に暮れていると突然、王妃が駆け寄ってきた。その後ろにはアルもいる。

「見せて下さい!」

王妃は突然そう言うと、少女に魔法をかけた。


「可視」

そうすると、少女の周りに黒い靄が現れる。

周りで見ていた者たちは突然現れた黒い霧のようなものにぎょっとする。


「やはり…魔、ですね」

「どうするんだ?浄化か?」

アルが問う。

「はい。それしかないでしょう」


ユティシアは少女に向かって手を振った。


「払え」


ただ一言、そう呟くと、黒いものは消えた。


「この子、魔に魔力も食われているらしいですね。魔力を分けてあげましょう…そうすれば、回復が早いですし」

ユティシアは少女の手を取ると魔力を注ぎ始める。


「さて…問題は、魔を振りまいている元凶たちですね」

ユティシアは、空を見上げる。


突然、パリンと何かが割れたような音が響く。

…魔物の襲撃によって結界が破壊されたらしい。


生徒たちは突然の襲撃者に驚き、逃げ惑う。


「来ましたね。これは…迎え撃つしかなさそうですね」

ユティシアはアルを見て、にこっと笑った。



その笑みは、彼女がいつも見せる優しい笑みではなく、何とも挑発的な、いつもの大人しい彼女からは想像できないような、強気の笑みだった。






さてさて、次はユティシアVS本編に初めて登場?の魔物さんです。

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