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陛下のお見合い騒動7

「陛下!」

ユティシアは慌ててディリアスを追いかける。そして、先ほどディリアスが入っていった彼の自室へと足を踏み入れた。

ディリアスは、ユティシアが入って来ても背を向けたままこちらを向かなかった。


「申し訳ありません。陛下を、怒らせるつもりはなくて…」

必死に謝るユティシアを、ディリアスはかわいそうに思った。


「…いや、怒ってはない。ただ、ユティが俺をそんなに思ってくれていないのが悲しくなっただけだ」

「陛下…」

「分かっている。俺の気持ちをいくら押し付けても、ユティが俺を好きにならないことくらい」

ディリアスは額に手を当てて、俯いた。


「それでも、辛いと思ってしまう。ユティシアは俺が他の女を好きになっても良いと思っていることが…情けないな」

「そうではないです。私も…辛いのです。私だって、自分だけ陛下に見ていて欲しいと思います。でも、それは叶わないのです…」

ユティシアは今にも泣き出しそうな、悲痛な顔をしていた。


「私には…陛下のお子は産めませんから…」

「別に俺はそれを強要するつもりはない」

あまりにも辛そうな表情に、ディリアスはユティシアを宥めようと背中を撫でる。


しかし、次にユティシアの口から発せられた言葉は、ディリアスを唖然とさせる。


「そうではなくて。私には、陛下の子を成す能力がない…と言えば、分かりますか…?」


子を成す能力がない…?そんな…。

彼女は自分の意志で子を作らないと言っているのではなかった。彼女は、望んでも出来なかったのだ。


彼女は、お見合い計画を実行しようと思った経緯を話してくれた。

彼女は子を成せないから、一刻も早く新しい妃を娶るべきだと考えたのだと。辛くても、それが世継ぎを残すため、国のためには必要な判断だと思い、行動したのだ…と。


ディリアスは、ユティシアの話を聞いて胸が痛んだ。


「何で…言ってくれなかった」

「まさか、知らないとは思っていませんでした」

ユティシアは、ディリアスが知った上で王妃にしてくれたのかと思っていた。それが違うと分かったのは、最近だった。


「今まで気付いてやれなくてすまない」

「いえ…陛下のせいではありません」


ディリアスは、愛しくて仕方がないその存在を――強く抱きしめた。




まさかのシリアス展開来ましたよ。

何がいらない話でしょう?何がちゃっちゃと終わらせてしまおう…でしょう?

二人はどうなるんでしょう?



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