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王妃を狙う者2

もう時間は深夜になっていた。窓から月明かりが差し込み、彼女の美しい容貌を照らす。月光によって銀の髪はきらきらと輝き、その姿は神秘的にすら見える。ユティシアは身じろき一つせず、横になって眠っている。


その顔を、いとおしそうに見つめるディリアス。

…彼女を王妃に選べてよかったと思う。

大国の国王の側妃という立場にいながらも、自国が占領されそうだという危機を察知し城から抜け出した女など、何年も忘れ去っていた。しかし、彼女と出会い、関わっていくうちに彼女の魅力に引かれていった。

今やその存在はディリアスにとってかけがえのない存在だ。まだ自分に振り向いてくれる気配はないが、徐々に信頼してくれるようになっている。


ディリアスが彼女の頭を撫でようと、美しい髪に手を伸ばしたその時、ユティシアが起き上がり布団を跳ね除けた。――殺気だ。ディリアスも一拍遅れて気付く。


暗闇の中からするりと人影が現れる。突然、ユティシアが暗殺者に襲い掛かった。懐に入り、鳩尾に魔力をねじ込む。暗殺者は次々と意識を失っていった。


ユティシアはディリアスの方へと視線をやる。ディリアスが発した暗殺者に対する殺気に反応したのか、こちらに殺気を放つ。まずい、このままでは…そう思ったディリアスは彼女より先に動き、彼女を床に押さえつけた。


「ユティ、ユティ、おい起きろ」

おそらく彼女は完全に意識が覚醒していない。そうでなければディリアスを襲ったりしないだろう。


「あ…」

ゆっくりと目を覚ましたユティシアは、不安げな顔でディリアスを見つめる。

「…申し訳、ありません…」

覚醒した彼女は、自分のしたことが分かっているようだった。瞳は揺れ、今にも涙をこぼしそうに見えた。


「もう大丈夫だから、落ち着け」

ディリアスは暗殺者を見回りのものに引き渡すと、ユティシアの背中を優しくなで、抱き上げて寝台に連れて行った。

ユティシアはディリアスに縋るように服を掴み、はなさなかった。そのまま、彼の温もりを感じながら再び眠りについた。 


翌朝、ユティシアは寝坊してしまった。

原因は…間違いなく昨日の読書だろう。不摂生をしないようにしようとユティシアは心に誓った。


……侍女のミーファが、寝坊をした自分に、良かったですねぇと言って満面の笑みを浮かべたのは何だったのだろうか?


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