陛下のお見合い騒動3
ユティシアは現在、お見合い計画実行を目指して陛下の執務室にいる。
「陛下、陛下の理想の女性とはどのような方ですか?…やはり、多くの人を束ねる才能のある頭の良い方ですよね?」
妃になるなら、多くの王族と接したりする機会があるはずだ。頭がいいのは最低条件だろう。失言は、夫である王に恥をかかせてしまう。
ディリアスは、ああ、仕事の話かと思い当たり素直に答える。
「そうだな…頭が良いのは最低条件だ」
「では、どんな性格の人が好みですか?積極的な方がいいですか、それとも大人しめの方?」
「……大人しい方だ。あまりうるさいのは嫌だ」
そうか、マウラ様もそう言えば物静かでいて知性のある方だったな…母上にあたるシャラ様は大変にぎやかな方だが。シャラ様はうるさいうちに入るのだろうか?
ユティシアは頷きながら紙に情報を書き込んでいく。
「では、見た目はやはり良い方がいいですかね」
「?そうだな…見た目も武器になり得るからな。印象は大事だ」
「見た目は美しい方?それとも可愛らしい方?」
「さあ…どちらでもいい」
「では…体型は?細身の方とふくよかな方ではどちらが?」
「どちらかと言えば細身か。あまり太ったものは自己管理が足りない証拠だからな」
ディリアスはユティシアの質問にどんどん答えていく。
途中から、髪の色だの瞳の色だの肌の色だの細かい話になってきたが、何だったのだろうか?
ディリアスは途中から怪しみ始めた。
ユティシアは何故いきなりこんなことを聞いたのだろうか?何のための質問だ?いつも割と大人しいユティシアが今日はよく喋る。
…考えているうちに気になってきた。
何か裏があると見た方がいいだろう。だが、ユティシアは一人でディリアスを欺くような真似をするはずがない。そうすると、誰かが裏で糸を引いているのだろうか。
「ありがとうございました。お仕事、頑張ってください」
ユティシアは、ディリアスが問いただす暇も与えず、話を聞き終えると部屋からさっさと出て行った。
ユティシアは陛下の好みを書いた紙を大事そうに抱え、大臣の下に急いだ。
計画のために集まった大臣の数は多い。こんなに陛下のためを思って協力してくれる人がいるとは、喜ばしいことだ。
「大臣殿、成功しましたよ。陛下の女性の好みを隅々まで聞いて来ました」
「さすが王妃様ですな。本当に細かく書いてありますな」
老人はその顔に深いしわを作って笑みを浮かべながら言った。
「では、あなた方はこの情報をもとに令嬢を集めて下さい」
ユティシアがそう言うと、貴族の男たちがいっせいに動き出した。
明日からは陛下の遠方視察である。これから貴族たちも自由に動けるだろう。
ユティシアはわくわくしながら、お見合い計画を着々と進めていくのだった。
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