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伝説の王妃、孫娘に転生する  作者: もも


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1/1

王妃転生に気づく

よろしくお願いします

 「…あら ? …鏡の中にいるのは…」

鏡に映るのは かつての私を 幼くしたような 燃えるような赤髪と勝気な瞳を持つ少女。

王家の片隅 埃っぽい 離宮の一室で 、私は自分の手が小さくて白くそして驚くほどみすぼらしいことに気がついた。


私はあの日愛する夫と子供たちに 見守られながら 穏やかに 人生の幕を下ろしたはずだった。


「王女様 意識が戻られたのですね!」


泣きながら 駆け寄ってきた 侍女の話を聞くと、どうやら私は現在の国王の末娘つまり私の孫娘であるエセルに転生したらしい。


しかもこのエセルかつての私の功績を盾にふんぞり返る高慢な国王(父)のせいで 政略結婚を押し付けられ 絶望して倒れていたというではないか。


「…なるほど。私が築いた この国を随分 好き勝手にしてくれているようね」

私はゆっくり 口角を上げた。


かつて一国の政を差配して荒野を黄金の麦畑に変えた王妃の微笑みだった。


「いいでしょう。 伝説の王妃がおばあちゃんとしてたっぷり教育を叩き込んであげようじゃない」





「王女様 やはり無理ですわ!そのようなお 体で…そのドレスは一昨年の流行遅れですし …」

泣きべ そをかく侍女のメリーを叱り、私は鏡の前で髪を結い上げて貰う。


 エセルの記憶を辿れば、今日はちょうど私を厄介払いするための婚約発表 パーティーが 本宮で行われているはずだ。 相手は隣国の評判の良くない侯爵だとか。


「ミリー 心配はいらないわ。流行を作るのは服ではなくそれを着る人間よ」


私はクローゼットの奥に押し込められていた 真紅のドレスを引っ張り出した。

かつて私が「戦場の真紅 」と呼ばれ 敵軍を退けた時にまとっていた色 。

それを今の私が着ることに 誰にも文句は言わせない。


王宮の大広間は 綺羅びやかなシャンデリアの光と品性のかけらもない 高笑い に満ちていた。



現国王…つまり 私の息子 (出来そこないの二男坊だ) が 酒杯をあげて宣言する。

「さて我が愛娘 エゼルを隣国のアルト侯爵に…」


「そのお話 少しお待ちいただけますかしら ?」

重厚な扉が左右に開き、会場の視線が一箇所に集まった。

そこにはさっきまで病床で青ざめていたはずの少女が背筋をまっすぐに伸ばし凛として立っていた。


「エセル!?お前寝ていたはずでは…」


「父上 、いえ 陛下 伝説の王妃エグランティーヌがかつて定めた法典 第十二条をお忘れですか ?」


私は狼狽する王の前に立ち 完璧なカーテシーを見せた。


「王家の血を引く者は自らの資質を証明するまで 他国への譲渡( 婚姻)を禁ずる。

私がこの国にどのような利益をもたらす資質があるかまだ証明しておりませんわ」


会場がしんと静まりかえる。

その法典は私が死ぬ間際に愚かな子孫が国を売り渡さないようにと 仕込んでいた保険だ。


「何を馬鹿な…お前に何ができるというのだ !」


「そうね、まずは…」


私は広場の壁に飾られた かつての私 の 肖像画を一瞥した。


「そこのアルド侯爵、あなたが隠し持っている 密輸の帳簿。 私の目にはその胸ポケットから透けて見えていますけど」


私の目は前世で培った「 嘘を見抜く審美 眼」をそのまま引き継いでいる。

震えあがった侯爵の顔を見て私は確信した。


おばあちゃんの教育的指導 ( お仕置き)はまだ始まったばかりだ。



読んでいただきありがとうございます!楽しんでいただければ嬉しいです。

前国王は病死、第一王子は事故死という設定です。

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