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32/61

32話 秘密基地でかくれんぼです!



引き続きよろしくお願いします!

♢




私の立てた作戦はまず、みんなで『石蹴り』をすることから始まる。


一応は、三人でもできなくはないが、できれば、その参加人数が多い方がいい。

私はそれくらいに考えていたのだけれど、その日集まった子たちはみんなが参加してくれた。


「この間、別の集まりでもやったんだよね」


まさか私の知らないところにまで広まっていたとは思わない。


どうやらいつのまにか、かなりポピュラーな遊びになっていたらしい。


そのおかげもあって、なんら疑われることなく、私たち三人は作戦の実行に入る。


「すごい場所ね、ここ」

「でしょ? でも外れにあるし、人が来ないんだ」


なにをするかといえば、子どもには到底見つけられない場所に隠れるという、至極単純な行動だ。


他の人の家ならいざ知らず、勝手知ったるレイナルト邸の中ならば、難しいことじゃなかった。


隠れたのは、魔法鍛錬場だ。


ここはそもそも、ほとんど人が来ない。ただ換気のためか、鍵は開きっぱなしで、倉庫もある。

隠れ場所としては、ぴったりだった。


「なんだか楽しい」

「たしかに。なんかいいな、ここ」


ビアンカちゃんもジェフも楽しそうにこう言う。


たぶん秘密基地を見つけたみたいな気分なのだろう。

たしかに、その感覚は分かった。


鍛錬場内は、すごく静かで、壁に特殊な素材が使われているのか、声が反響する。


その空間はそれだけで、気分の高まりを感じる。


試しに「あ」と声を出してみたら、二人も真似して、それが響いて残るのに三人で笑い合う。


これくらいしても、人は来ないのだ。



そうしてしばらく、作戦通りにビアンカちゃんは、鍛錬場を後にする。


「一人でいけるか?」


とのジェフの声かけには、


「あたりまえよ」


と、両手を腰にやりながら答えていた。


強がっていないといいけど。

そう思いつつも、あとはもう、彼女に任せるほかなかった。


ここからの勝負の相手は、三歳児ではなく、大人だ。


だから私は口元に手を当てて、ジェフに静かにするよう伝える。


そのうえで二人、鍛錬場内にある倉庫に身を潜めることとした。


二人で扉を引っ張ってどうにか中へ入ると、積み上げられた木箱の下にちょうどいい隙間を見つけて、私たちはそこに入る。

ただし倉庫内には明かりもなく、太陽の光もぜんぜん届かない。


「うわぁ、暗いな」

「こわい? 少し扉開けようか」

「こ、こわくないって」

「ううん、開けようよ。あと、こわかったら、手にぎっていいからね」

「だから、こわくないから!」


ジェフはそう強がっていたが、扉を少し開けてもなお、怖かったらしい。


控えめに、私の着ていたワンピースの袖を掴んでくる。

私はそれを微笑ましく思いながら、彼が怖くないようにと、小さな声でなにげない話を続ける。


それで少し落ち着いたのか、


「……ビアンカ、だいじょうぶかな」


ジェフはこう口にする。


なんだかんだで気にかけているのだから、可愛らしい。


「ふふ、やさしいね、ジェフは」

「そういうのじゃないって。ただーー」


と。

なにやらジェフが言いかけたところで、鍛錬場の扉が開けられる音がしたから、私はその口を塞ぐ。


「アイ様、ジェフ様〜。うーん、こんなところに来るわけないしなぁ」


そこへ聞こえてきたのは、レイナルト邸の使用人さんのこんな声だ。



それで私は、作戦がうまく動いていることが分かって、ひとまずほっとする。


だが、ここで見つかったら、意味がない。


私は隣のジェフにまた人差し指を立てて、口を閉じるように伝える。

暗いのに目が慣れてきたのもあって、彼が頷くのが、さっきよりしっかりと見えた。


結局その使用人さんは、すぐにその場を後にする。


それでひとまず、私たちはほっと息をついた。


どうやらビアンカちゃんは、うまくやってくれたみたいだ。

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― 新着の感想 ―
確かにこれは叱られるけど危険度は低い。 さてはて、狙い通り行くかな。
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