外科の新人の歩み4 人生初デート
閉店したケーキ屋さんの店内で話をする2人。
店長「あなたは、まだ実質学生さんってことですよね?金銭的に苦しいでしょう。今日は私が払うから心配しないで下さい。しかし、そんなにも時間があるなら。。外食しますか。」
外科の新人「えっ。いいのかしら。」
店長「こんな時にお金使わなかったら、何のために働いているのか分からないですよ。いい店を知ってますから行きましょう。」
店長に歩いてついていく。駐車場に向かうと昨日の軽自動車が見えてきた。嬉しそうに助手席側の扉の前に立つ。
後ろから店長が声をかける。
店長「それ営業車。今日はこちら。」
振り向く外科の新人。
外科の新人「えっ!こっち?ねえ。。左ハンドルなの?」
店長「たまには乗らないとバッテリー上がるから。。けど、もう手放そうかな。車にお金使うより、使いたいことが出来たからね。」
外科の新人は店長の言葉にすっかり舞いあがっている。緊張しながら店長の外車に乗り込んだ。
外科の新人「あのー。こんな車でお金持ちで。。モテないなんてあるかな?私って。。いっぱいいる中の1人ですか?」
店長「お金目当ての人は相手にしませんから。今、あなたしか可能性がある人はいませんね。さあ行きましょうか。」
いつもよりカッコをつけて張り切って、店長は美味しい店に向かうと。。お店は臨時休業だった。
店長「いやー。慣れないことするとこれかよ〜。はあ。。情けない男だよな〜。。」
ずいぶん私とのデートのことを考えてくれたと感じた外科の新人はナチュラルにフォローする。
外科の新人「ねえねえ。あの向かいの居酒屋さん。歓迎会で行ったけど良かったよ。2人で食べたら何でも美味しいんでしょう?私には高い店なんて似合わないし、あそこに行きましょうよ!」
店長「それでいいなら。まあ、私の目的地は無くなったしね。」
2人で居酒屋に入るといろんなメニューを頼み、つっつきながら、会話が弾んだ。
店長「いや〜。ここはかなりいいね。ねえ、コート脱がないで大丈夫?」
外科の新人「えっ?あっ。。ち、ちょっと寒いからこのままでいいわ。でも、さすがにあなたの料理よりは劣るわね。今日はあなたには料理させたくなかったんだ。2人で楽しみたかったからね。あー。もうお腹いっぱい。。ねえ、デザート何にする?」
店長「デザートは。。帰ったら2個だけ特別に作っておいたから、そちらのほうがいいんじゃないかな?」
外科の新人「うわー。絶対そっちのほうがいい!じゃあ我慢するわ。」
2人は店長の車に乗り込む前に、外科の新人は先輩の提案を思い出し、歩いて駅前のイルミネーションを見に行く。
外科の新人「うわー。綺麗!」
店長「へー。すごいなー。」
外科の新人から自然に腕を組む。
店長「こんな幸せ初めて。イルミネーションはよく見たけど。。今まではただの灯りとしか思ってなかった。こんなに綺麗に思えるなんて。。理由はあなたと一緒だからなんだね!」
外科の新人「私も幸せ。ありがとう。」
店長「しかし寒いねー。そうだ!映画のレイトショーを見に行く?」
外科の新人「ええ、是非!」
2人は車で移動すると映画館に着いた。
店長「何を見る?」
外科の新人「そうね。。任せる!あっ。ここは私が払うわ。」
店長「えっ。いいのに。」
外科の新人「いいからいいから。ねえ、どれ?」
店長「この作品気になるな。」
外科の新人「じゃあ、それにしましょう。」
店長の選んだ映画は見たらホラー映画だった。すっかりグロッキーになった2人。
店長「あー。。初めてのデートなのに!店は休みだし、選んだ映画はホラー映画だし。。フラれて当然。最悪だなー。参ったな〜。情けない。」
外科の新人「あんなの詐欺よ。ホラー映画に見えない写真じゃない!食べたのもどさなくて良かった〜。でもいっぱい腕組めたから嬉しかったな。なんか、内容全く覚えてないけど。。腕組めたから良しね。」
店長「あなたに救われてばかり。。」
外科の新人「お互いに力になるように助け合えたんだから素敵じゃない。ずいぶん私のために考えたんでしょう?嬉しいわ。」
店長「あ、ありがとう。」
外科の新人「あーっ!ねえ、ゲームセンターだよ。UFOキャッチャーやる?」
店長「ゲームセンターなんてずいぶん入ってないな。。何これ!えっ。ゲームセンターって。こんな景品を取る世界になっているんだ。。店のショーケースにフィギュア飾ったらいいかもしれないな。なんか、これ可愛いね。何?」
外科の新人「ああ、初音ミク。これいいデザインだね。取ってみたら?」
店長「ああ。1回100円なんだ。。えっ。全く動かない。取れるの?これは高い買い物になりそうだな。」
外科の新人「申し訳ないけど、お金は出して。私がやってみる!」
外科の新人がやると500円で取ってしまう。
店長「すごい!いや〜。ねえ、あれ飾りたいんだけど。。」
外科の新人「ああ。すみっコぐらしね!いいわね!」
店長が希望するものをほとんど500円以内に取ってしまうか、100円で無理と言うかのどちらかの外科の新人。
可愛いグッズを10個以上取り、店を後にした。
店長「すごいなー。尊敬するよ。もっともっと取れたよね?」
外科の新人「途中から完全に店員にマークされてたよ。あれ以上やると出入禁止ね。私ね、高校時代からゲームセンターでアルバイトしてたの。今もなの。だから取り方は分かってる。時給が高いのよね〜。」
店長「そうなの!なんか、みんな助けてもらって。。」
外科の新人「一緒だから楽しい。一緒だから美味しい。一生懸命な気持ちは伝わっているわ。だから、すごく幸せなの。」
店長「分かった。ありがとう。次はどうする?海でも見に行く?」
外科の新人「ん~。。店長は、いつもの生活なら寝る時間でしょう?危ないわよ。私、免許ないから代われないよ。ねえ、もし良かったら店長のお店でデザート食べたいなー。」
店長「忘れてた!名誉挽回のチャンスだ。確かに危ないかもしれないね。しかし、あなたの気遣いはすごいな。。」
自然にどんどん惹かれ合ってしまう2人だった。